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《那月》
汚い姿、守谷さんに見られた。
もう、このまま消えたい。
そう思ってたのに。
嬉し…かった……
お父さんみたいに怒りもせず、
お医者さんみたいに事務的でもなくて。
汚いよ、って言った言葉、否定してくれて。
ほんとに、ほんとに嬉しかった。
ごめんなさい、血で汚して。
ごめんなさい、重くて。
ごめんなさい、迷惑ばっかりかけて。
言ったら、呆れて問答無用で背負われた。
今は、ゆらゆら守谷さんの背中。
あったかい。
何でかな?
涙がでる。
背負われる姿勢は、すごく痛いはずなのに。
痛みよりあったかい。
もう……
このままが道がずっと続けば良いのに。
着いたら、傷を見られる。
僕が出した事もみんな知られてしまう。
守谷さんは呆れて、もうこれきりになるだろう。
もう…那月って呼んでもらえない。
「…泣いてんのか?
痛いな、ごめんな。もう直ぐだからな?」
慌てて被りを振った。
ごめんなさい。
ごめんなさい、守谷さん……
ごめんなさい……
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