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101 《一時》
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《一時》
言わない事じゃない!
貧血だ。
那月はキョトンとしてるが、本人は元気なつもりでも顔は白いし、クマも出来てる。
抱いてベッドの上に戻した。
座らせる時、顔を顰めた。
まだ痛いんだろう、当然だ。
「……すみません。」
ひたすら恐縮しまくってる那月を見ると、なんだか可哀想になる。
「守谷さん…どこか行くつもりで休み取ったんじゃ?」
「ちげーよ。」
「あ!そしたら一人でゆっくりするのですね?
すみません、すぐ帰りますから!」
「違う!!」
「へ?」
何だろう、この鈍いのは!
疲れて来た。
「……腹減ったろ?待ってな。」
「は…あ…。」
以前から思っていた。
那月は、自己肯定力が無さすぎる!
卵粥。
ぶっちゃけ病人食で出来るのはこれだけだ。
那月は、前回と同じく遠慮して、前回と同じく感動して食べてくれた。
さて、と。
ベッドに腰を下ろして、
「俺は休みだが、おまえは?
連絡しなくていいのか?」
「あ…!!!」
那月は、ワタワタして立ち上がろうとするのを、肩を持って押さえる。
これは予測済み。
「ど…どうしよう!!
10時過ぎてる!
学校行かないと!」
「落ち着け、那月。」
「学校行かないとお父さんに叱られる!
学校…行かなくちゃ…!!」
那月の興奮に引き摺られるな!
冷静に。
「那月、俺の顔見ろ!」
青ざめた那月の顔を覗き込んだ。
「あ……」
「那月、落ち着け。
大丈夫。」
「……もり…やさん……。」
「答えられる範囲で良い。
父親に知られるのは嫌なんだな?」
「……はい。」
俺の顔だけ見て那月が言う。
「母親は?」
「……ダメ…です。」
唇を噛んで、
「お父さんもお母さんも、昨日有った事知られたくない!
だから!学校行かないと……先生からお父さんに連絡が…」
「大丈夫。
行ってる学校の名前は?何年何組?
「……?
えっと…第三中学校…3年1組…?」
「ん、待ってろ。」
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