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103 《一時》
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《一時》
目を微妙にずらしてニコニコ…ってバレバレなんだよ。
どうもおかしい。
大体、那月のマンションはワンルームだ。
そりゃワンルームに家族が住んでても良いけど。
那月は、家族の事になると決まって目を合わさない。つまりは嘘を言ってる。
俺とはただの知り合い、って那月はすごくこだわるが、仔犬のように俺を慕ってくるのとは矛盾してる。
「…ごめんなさい…守谷さん。
嘘…吐かせて……。」
しょんぼりしてる。
考えるのは後だ。
まぁ、下手すりゃ未成年誘拐だからなぁ。
でも、行かせられるか!
こんな状態で!
「気にするな。
も少し眠るか?鎮静剤飲んで?」
「あ!いえ!
大丈夫……」
那月は俺の顔見て答えてたが……
急にボロポロッと涙を流した。
「那月?」
本人も涙に触れながら、びっくりしたようだ。
「……あれ?
変…だな、別に悲しく無いのに??
変……だ?
守谷さん、気にしないでください。
あれ…??あれれ……?」
俺に対して笑顔で言ってるものの、涙は後から後から流れてる。
……無理もねーよな…。
昨日から、いろんな事あったもんな…。
「泣けよ?」
「え?」
「泣きたい、って無意識に心が思ってんだろ?
だったら泣いた方がスッキリする。」
グイと那月の頭を俺の胸に抱き寄せる。
「痛くて怖かったって言う気持ちが泣きたいって思ってんだ。
な……那月?」
「も…りやさ……ふぇ…」
盛大に泣き出した。
「……守谷…さ…
守谷さん……
守谷さん……!」
胸にすがって……
俺の袖が那月の涙でぐっしょり濡れる。
「痛かったな…
怖かったな……
すぐに駆けつけてやれなくてごめんな……
スーパーで待ち合わせなんて言ってごめん……」
那月が胸の中で激しく首を振った。
那月は否定してくれるが、迎えに行ってやったら良かった。
せめてもっと早い時間なら?
後悔ばかりが押し寄せて来る。
ごめんな……那月。
本当にごめん………。
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