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そうして、いざ
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それからの半年は、はっきり言って地獄だった。
身体を動かす練習に、精霊士の基礎を学ぶ授業に。
ティアは本気でスパルタで、初等部から中等部にかけての全てを叩き込まれた。心構えや、そういう心の内側の部分まで。
俺が少し弱気になるだけですぐにバレて怒られる。家族でも気づかない変化にさえ敏感に察知できるのは、同じ精霊士だからか……?
でも、家族とは違う意味で本当に良くしてくれた。
俺の方がひとつ上なのにお兄さんみたいだもん。いや可愛いからお姉さんか? まぁいいや。
そんなこんなで何とか自由に生活もできるようになり、大変だった日々は本当に自分を大きく変えてくれてーー
「いよいよ入学式か」
この世界で目覚めて1年。
ついに、念願だった兄の学校へ入学することができた。
「うわーなんか…トア兄と一緒に通えるのまじで嬉しい。俺ひとつ違いでよかったぁ〜」
「ちょっと泣かないでレス。ただでさえ目立ってるんだから静かにしてよね」
あちこちから聞こえる「リスト家の眠り姫」という単語。
俺って何気に有名だったんだな。
家や自分の立ち位置のことは大体聞いていた。
この世界じゃ名家に入るリスト家と、その屋敷に生まれ眠り続けている精霊士。
知らない人はいないくらい有名な話だったらしい。
まぁ、後はみんなよりひとつ年上だしなぁ。見えないかもしれないけど。
「ちゃんと溶け込めるかな……俺」
「俺じゃない、僕」
「はい」
駄目だ、つい出てしまう。
やはり前の世界で14年間俺呼びだった分、どうしても癖が抜けない…ちゃんとしないと……
「入学式が終わったら、多分精霊士の先生に呼ばれると思う。着いて行きなね」
「わかった」
「うわー遂にか、楽しみだなぁトア兄の精霊!
帰ったら見せてな!」
「うんっ」
精霊士は本来、中等部卒業までに最低でも1体の精霊と契約を結んでおかないといけない。
高等部で精霊と受ける授業があるからだ。
でも、中等部に通ってない俺にはまだ精霊がいない。だから、先生が早めに契約の場を設けてくれるはず。
初めての精霊…俺の相棒……!
どんな出会いがあるんだろう、緊張する。
とにかくいい精霊と契約できることを祈るしかない。
教えてもらったことを頭で再復習しようと、保護者席で涙を浮かべる父に手を振りながら自分の席へ座った。
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