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大谷君①
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僕のクラスにはイジメがある。
誰一人無関心で、それを止めようとする者はいない。つい先月この高校の入学式を経て、皆少し新しい生活に慣れ始めていた時にそのイジメは始まった。
急に小倉葵唯(おぐらあおい)君が主犯で、彼の仲間を使い、永瀬莉紅(ながせりく)君を教室の後ろの隅で犯させ始めたのだ。
小倉君は、顔は女子に好かれそうな爽やかな感じだ。髪も染めているけど、不良には見えない焦げ茶色。
体も鍛えているみたいで、細く見えるようでガッシリしている。けれど、つるんでいる仲間は不良ばかりで、小倉君含めた五人グループで、たった一人を輪姦しているのだ。
しかし、小倉君は見ているだけだ。きっといじめが明るみになった時に一人だけ言い逃れをするのかもしれない。
いじめられている永瀬君はというと、パッと見ると女の子みたいな優しそうな顔つきをしている。
身体も華奢で、男達の乱暴に自力で逆らえそうにはない。
最初は学級委員長の梅山さんが小倉君に物申していた。
梅山さんは品行方正という言葉がよく似合う。制服も着崩していないし、肩下まで伸びている綺麗な黒髪も、ハーフダウンというらしい髪型にしていてお嬢様のようだ。
けれどお淑やかさは無い。背の高さも要因の一つだ。俺よりは低いが、百六十五センチはありそう。
真面目で正義感の強そうな顔付きは、委員長という肩書きがよく似合う。
「ちょっと、永瀬君嫌がってるでしょ、やめなさいよ。しかも教室で堂々と、クラス皆気まずいし、不快なの。今すぐやめて!」
「はは。お前らも見るかよ、こいつイジメられて勃起してんだぜ。ドMなんだよ、ドM。いじめてやらなきゃ可哀想だろ?」
小倉君は臆する様子もなく、ヘラヘラと笑いながら言い返した。
グループのうち一人が自分のイチモツを永瀬君にしゃぶらせて、もう一人は、膝を立てて上に突き出している尻の穴を指で広げている。
他二人は彼の乳首をいじめたり、手で自分のイチモツを扱かせたり、やりたい放題だ。
永瀬君は涙を浮かべており、フェラをさせている一人は構わずチンコを喉奥に突き刺している。苦しそうに咳をしているのに、喉への抽挿をやめない。
「話にならないわ。先生に言ってくる」
「おい、そんな事してみろよ。今度はテメェの番だぜ? あ、そうだ! 誰か一人でも教師にチクりやがったら、梅山をこいつと同じように犯してやるよ!」
「……っ!」
ギロリと睨みつけてくる小倉君に、誰しも身震いをした。それ程恐ろしい目だった。
梅山さんは悔しそうに歯噛みしていた。
それはそうだろう、男でさえこんな扱いをされているのだ。女性が乱暴をされたらただでは済まない。
それ以降梅山さんも、悔しそうに睨むだけで何も出来ずにいる。
だが! それでいいのか?
俺はそうは思わない。
悪は悪だ。小倉君や仲間達は罰を受けるべきだ。
俺が先生に言って梅山さんが被害に遭ってはならない。やはり、俺が……。
「春樹。どうしたの? 悩みがあるなら言ってみなさい」
どれだけ悩んでいたのだろう、夕食中母さんが心配そうな顔で俺に話しかけてきた。
父さんはまだ仕事で帰ってこない、いつも夕飯は二人で食べている。
「あ、と……クラスでイジメがあって……俺許せないのに、何も出来なくて。悔しいんだ」
「あなたは昔から真っ直ぐで、真面目で正義感が強くて、お母さんの自慢の息子よ。
悔しいなら立ち向かいなさい」
「母さん……」
「でもね、それであなたが追い詰められてしまうのなら、学校辞めて転校してもいい。後悔はしないで欲しいけれど、無茶はしないでね」
母さんの強い言葉に俺は奮起した。いつもの俺でいればいい。許せない事は許せないと言うのだ。
それで俺が標的になろうとも……。
俺は夕食を終えると、道着を着て自宅の敷地内にある道場へ向かった。
昔は空手道場だったが、祖父が道場を畳み、今は兄と俺の稽古部屋となっている。
一人稽古をして、自分の気持ちと向き合った。
そして、覚悟は決まった。
翌日、朝登校して教室に行くと、既に永瀬君は小倉君に犯されていた。
グループのメンバーはおらず二人きり……。
永瀬君の白い綺麗な肌は朱に染まっていて、女性の様に男を誘っている。悲しく切なげな表情は加虐心を擽るものがある。
少し、犯している者の気持ちが分かってしまった。
──だが! 犯される方にも原因はあるようにも見えるが、やはり害を為す者が圧倒的に悪い!
「小倉君、やめないか。見ていて不愉快だ。永瀬君もしっかりと拒否したまえ! そんな態度だから好きにされてしまうのだぞ。
兎に角だ、もうそういう事をするのはやめて。女子生徒もいるんだ、目の毒だろう。人の迷惑も考えたまえ!」
勇気を出して言ったが、気付くと俺はハァハァと肩で息をしていた。
どれだけ力を込めていたのだ俺は。
こんなに真剣に物申したというのに、小倉君は吹き出してニヤニヤと嫌な笑みを俺に向けてきた。
「……ぷっ」
「なんだ?」
「言い方古っ。大谷、お前どこの堅物野郎だよ、そういうキャラだったんだ?」
「今までどう思われていたか知らないが、今後永瀬君に性的虐待を加えるなら、俺が止める!」
「へぇ……いつも俺らを汚物でも見るような目で見てきたよな。知ってるんだよ、お前が俺を見下してるってな」
「み、見下してなどいない!」
小倉君は笑いながら立ち上がり、チンコをしまって制服を整えた。それを見た永瀬君も、いそいそと制服を着始めた。
「見下してるつもりないんだろうが、見下してるんだよ。まぁいいけどな? でも、俺に楯突いたこと後悔させてやるよ。あはははは。
おい、莉紅行くぞ」
「う、うん……」
小倉君は俺を横切って教室から出ていった。永瀬君もその後に続いた。
第一戦目が終わったのだ。
俺はその後も、小倉君達が永瀬君を犯している場面を見たらすぐに止めに入った。
彼らに楯突いたお陰で、折角出来た友達は俺を無視するようになった。クラスメイトは敵になってしまった。
だが、諦めない。
俺がどうなろうと不条理は正さねばならない。
それから数日……俺の努力は虚しく、どんなに頑張って止めても、毎日毎日永瀬君への陵辱は続いた。
しかも俺に見つからないよう、教室でやる事はなくなったが、絶対に校内のどこかでしている。
梅山さんの手前、やはり先生に相談は出来ないから、俺が頑張るしかないんだ。
その日も俺が邪魔をした。
いつもは永瀬君の支度が終わってから小倉君達と共に部屋を出ていくのに、その日彼らは永瀬君を置いて空き教室から出ていった。
今まで永瀬君と二人で話した事がなかった。チャンスだ! 彼のイジメに対する意識を変える!
いつまでもやられるばかりではいけない!!
「永瀬君、君もちゃんと拒絶したらどうなんだ!! 何故やられたままでいるんだ!?」
「……君こそ、どうして僕を助けようとしているの?」
初めて俺に向けられた言葉。
いつも喘ぎ声を聞いてはいた。まだ未熟な女性のような可愛らしい声でいつも泣いていた。それを聞くだけでも俺は理性を留めるのが大変なのだ。
今は普通に会話をしている声だ。喘ぎ声ではない、普通の喋り声。変声期を過ぎただろうが、ハスキーな女性みたいな声だ。
──だというのに、何故こんなに胸が熱くなるのだろう。
違う! 俺は奴らとは違う!
「人が平和に生きる権利を他人が奪ってはいけない。彼らは日本国憲法、基本的人権の尊重を害しているっ!
小倉君達は間違っているんだ。間違っている事は正すのが普通だろう?」
「へぇ……君って、正しい事が本当に正しいと信じているんだね。世の中、理不尽な(正しくない)事ばかりなのに」
永瀬君は俺に微笑を向けた。何故か憐れまれている表情だ。
俺の中に違和感が湧き上がった。
小倉君は嫌がっていないのではないか、というイジメの根底を覆すような仮定を立ててみるとその違和感はあっさり解けた。
永瀬君はもしかすると、輪姦されるのを拒んでいないのではないか……。
そう考えると、やはり怒りが先立つ。
俺が間違っている永瀬君を正さねば!!
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