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飼い"猫"に手を噛まれる
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にゃー。にゃー。
「……おーい、誰だ、講堂で猫飼ってるのは?」
「すんませーん! おれでーす!」
こたはガタンと立ち上がり、元凶であるスマホを先生に振ってみせる。
抑えた笑い声や野次が周りから飛んだ。
「にゃはは。マナーにすんの忘れてた」
「後にしろよ、こた」
「わかって……あっっ!!!??」
「!?」
通知でメッセージを読んだのだろう。
画面を見たこたはみるみる真っ青になった。
「おい、こた?」
「嘘だろ……先生!! ごめんなさい早退します!!!」
「急にどうした!?」
「ついでに柳瀬も早退します!!!」
「は!? ちょ、こた?」
「早く、片付けて! 早く!!」
「わかったわかったから、あとで説明しろよ」
「ごめん助かる、ほんと、ああ……!」
まったく訳がわからないが、ただ事じゃないことだけはわかった。
先生もそれを汲み取ったからか、あっさりと早退を許してくれた。
二人で外に駆け出す。
その間、こたは手短に事情を話した。
「レンとキクとスズランがどこにもいないって。窓が開いてたから、逃げたかもしれないって。
巻き込んでごめんだけど、一緒に捜してほしい」
こたの顔は相変わらず真っ青だ。
おれは軽くその背中を叩いた。
「大丈夫だから、な。
絶対見つけよう」
「……うん、おーじ。
ありがとう……」
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