アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
所有欲 R18
-
「っはあ……、っ……」
長く息を吐いて、オトに力の抜けた身体を預ける。
息が整ってきた頃、オトは不意におれの腰を抱えて持ち上げた。
「……? なに?」
「なに? じゃなくてさ、ほら、自分で挿れてくれない?
おれ支えてるからさ」
「は……」
あ……まじ、か。
この体勢ですんの?
「ちょ……無理っ」
「大丈夫だから。
ほら、おれもずっとは支えてられないよ」
「……っ」
し、仕方ない……
ここは思い切っていくしかない、よな。
「ん……ううっ……」
片手を自分の穴に伸ばして、力が入らない指で拡げる。
意を決して腰を落とせば、何とか先端を咥え込んだ。
「は、っ……」
「ん……そのまま、ゆっくり下ろせる?」
「う、うん……っ」
オトに支えてもらいながら、恐る恐る身体を下ろして行く。
繋がりが深くなるにつれ、圧迫感が増した。
「うぁ、あっ……」
「そうそう、いい感じ……」
「こ……これ以上、無理……っ」
首を振って訴えると、オトはおれをなだめるように笑った。
「うん、よく頑張ったよね。
じゃあ動くけど、腰の位置そのままでいられる?」
「ふぇ……?」
「まぁなんでもいいけど、ちゃんと掴まっててよ、」
「っ!?」
ふわ、とわずかに感じる浮遊感。
すとんと身体が落ちる感覚と、頭まで貫かれるような衝撃に、声にならない悲鳴が漏れた。
「〜〜ッ」
「っごめん、加減が難しーな……と、」
「っうぁ、あ……っ」
「んっ……こうかなー……」
「あぁ、お、オトっ……」
「んー……?」
「これ、こ……怖いっ」
体勢は不安定だし、腰が落ちたときの衝撃が強すぎる。
涙目でしがみつくおれを見て、オトは困ったような顔をした。
「そーゆー顔するから、もっといじめたくなるんだよね……」
「え……なに?」
「んーん、気付かなくてごめん。
体勢変えよっか」
「ん……」
「でも床固いからねー、どーしよっかな。
……あ、そうだ。ミコト、一回抜くよ」
「あ……う、うん」
せっかく頑張って挿れたのに……
なんて、ちょっとだけ思ったりして。
「立てる?」
「え……立つの?」
「うん。立って、壁に手を付いて」
なんだかよく分からなかったけど、言われるままに立ち上がり
壁に向かって立てば、後ろからオトの手が伸びてきた。
「こうして、腰を突き出すような感じで」
突き出す?
え……まさか、
立ったまま?
「よし、いくよ」
「え、うそっ……うあっ!?」
なっ……なにが、起きたんだろ。
今、挿入って……?
「っあ、ぁ……っ」
「っ、大丈夫?
優しくしてあげたいけど、おれもう、我慢できないや」
「なっん……ぁ、あぁっ、」
や、ばっ……
いきなりこんな激しく、されたら、
「や、だめっ……あ、あん」
頭の中、おかしく……なる……っ
「ひあ、あっ……はぁっ、あっ、あぁっ」
「っ、はっ……ん、」
「あぁっ、や……ん、ふぁっ、あ、」
ふと、首の後ろに熱い息がかかって、
なんだろうと思う余裕もなく、ただ、ズクリと軽い衝撃を伴った痛みに呻いた。
あ……もしかして、噛まれた?
「う、オト……あ、はぁっ、ん」
「ミコト……ミコト、」
「うぁっ、あっ、あぁぁー……っ」
…………
……
「……なんかさー……」
「んー?」
「首がめっちゃ痛いんですけど……」
事後処理をしたあと、一緒に風呂に浸かりながら
おれは首の後ろをぺたぺた触った。
明らかに歯型がついてるよな……
「んー、今日気付いたんだけど、おれって噛むの好きみたい」
「えー」
好きみたい、じゃねぇよ……
被害を受けるのはおれなんだぞ。
「せめて、甘噛みにしてほしいんだけど」
「努力はするよ」
本当かなぁ。
「つか、どちらにしても、服に隠れる場所にしろよ。
これじゃ丸見えじゃんか」
「あー……、あのね、首の後ろを噛むのは癖なんだよ。
知ってる? オスの本能なんだ」
知るか、そんなこと!
「んなこと、メス猫にだけやってろ!」
「あれ、ミコト怒ってる?」
「怒ってる!」
ばしゃん、と豪快に湯を撒いて風呂から上がる。
扉を乱暴に閉めて身体を拭いていたら、向こう側からのんびりした声が聞こえた。
「ミコト、もうしないから許して?」
「とか言って、どうせまたやるんだろ」
「んー、そーかも」
お前なぁ……
「だってさ、もう、好きで好きでどうしようもないんだもん。
どうしたらいいのか分かんない。触るだけじゃ満足できない。嗜虐心ってさっき言ったけど、多分違うんだ。
所有欲なのかな。とにかく、おれのものっていう消えない印を残したいんだよね」
「……」
なんかすごいこと言ってるけど。
正気か?
「だからきっとやめられない。
多分、好きになればなるほど、もっと酷いことしちゃうと思う。
……独りよがりで、馬鹿みたいでしょ。
なんでおれ、こんなに必死になってんのかな」
「……」
必死?
いつも余裕かましてるくせに。
……でも、オトって意外とデリケートなやつだから
おれに見せないようにしてるだけで、本当は……
「ね……おれのこと、嫌だったら突き飛ばしていいんだよ。
恋人のこと傷付けて、血を飲んだりするようなやつ、最低だと思うでしょ」
「……お前はそれでいいの」
ぴちゃん、
と、水の音が響く。
おれは耳を澄ました。
「だって……おれ、ミコトが大切なんだよ……
すっごく、すっごく大切なんだ。
生まれ変わってもまた出逢えたらいいなって思うくらい、大好きなんだよ」
「……」
「そんなひとを傷付けるような、やつなんて……」
傍にいる資格ない。
掠れた声は、しっかりと耳に届いて、鼓膜を揺さぶった。
「……オト」
「……ん?」
「好きだよ」
「……ミコト、」
「大好き……」
涙が出そうだった。
愛おしくて、今すぐにでも、抱き締めたかった。
オトの残した傷痕が疼いた。
「……いいよ」
「え?」
「おれのこと、傷付けていいよ……
だから、どんなに痛くても、傍にいてよ」
きっと、おれも……
「傷付けられながら、オトのこと、好きだって思うから……」
愛おしくてたまらない気持ちが、痛みに溢れるのなら
それでも構わないと
そう……思うんだ。
「……っ、そーやってなんでもかんでも許しちゃうから、付け上がるんだ……」
「オト……?」
「……ごめ、ん……
少し……少しだけ、」
泣かせて……
「…………」
扉の向こうで、すすり泣く声を聴きながら、
おれも少しだけ、まぶたを下ろした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
57 / 73