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オキナグサ
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「俺、好きな子できてさ、今から告白しに行くんだけど、俺、変じゃないかな。」
そう緊張しながら言ったお前はいつもよりピシッとしてる気がした。
「変なわけないだろ。告白、頑張ってこいよ。」
絞り出した応援は思ったより小さい声だった。
俺は急いであいつに連絡した。
俺ではダメだった。
女にはかなわない。
女になりたい。
いつもならすぐかえってくる返信がかえってこなかった。
俺はやり切れない気持ちになって独りとぼとぼと家に帰った。
「俺、好きな子と付き合えたんだ!紹介するから、昼一緒に食べようぜ。」
次の日の朝、嬉しそうに残酷なことをお前は言った。
でも相手が気にならないでもない。
仕方ないから付き合ってやることにした。
「この子が昨日から俺の恋人、真陽(まひる)。こっちが俺の親友、裕翔(ゆうと)だ。」
紹介されたのは俺もよく知る人物。
俺が毎回相談してた男だった。
なんでこいつがとか、男でもよかったのかとか、俺が好きなの知ってて付き合ったのかとか、もうどうでもよかった。
あいつがずっと傍にいた俺に男を好きになったと言わなかった事実が何より胸を抉った。
男でも付き合える可能性があったのなら、俺だって、俺だって苦しまなくて良かったのに。
あいつを、可愛い顔したあいつを好きになる可能性があるのならあんな奴に相談しなかったのに。
悔やんでもお前が男と付き合った事実は変わらない。
悔やんでもお前の隣が俺になることはない。
俺がお前と一緒になれる未来を求めてしまったのが悪かったのか。
こんなことなら最初から何も求めなかったのに。
「お幸せに。」
声を絞り出して伝え、その場を後にした。
オキナグサ
清純な恋
告げられぬ恋
何も求めない
裏切りの恋
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