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サザンカ
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「篠原(しのはら)様。お慕いしております。」
篠原様と会う度に言う言葉。
その言葉に冷ややかな目を向ける篠原様。
幾度となく投げかけた言葉は応えられることなく消えていく。
別に悲しさなどない。
篠原様には想い人がいるから。
小さい頃から一緒だという想い人を知る人はいない。
同じ学校にいるのかすら分からないけど同じ学校ではないと僕は思っている。
大好きな篠原様の大好きな人を分からないわけがない。
それほど篠原様を見ている自信がある。
そんな篠原様は僕以外に好きな人がいない。
篠原様はこの学校には珍しい不良と言われる類にいる方だから。
僕以外に好きな人がいないのは幸運だと思う。
一緒になれる可能性は低くともライバルは少ない方がいいに決まってる。
例え目の前でいつもは見せてくれない笑顔を可愛らしい外見の男に見せていたとしても。
僕は割り切れていると思っていた。
想い人がいてもいいから好きでいると。
あの笑顔を見ると僕なんかが付け入る隙なんてない。
暗い気持ちになっては駄目だ。
普段見れない笑顔を見れたんだ。
篠原様はああいう風に笑うのか。
目に焼き付けないと。
たまには少し離れた街に遊びに来るものだ。
レアな篠原様の笑顔を見れたし想い人も知ることができた。
それにしても篠原様の想い人は可愛らしい。
人を惹きつける笑顔で小動物のようだ。
篠原様からすると守りたくなるのだろうか。
しまった。
篠原様に気付かれてしまった。
篠原様は一瞬冷ややかな目を向け、また笑顔に戻った。
まるでこれで分かっただろうとでもいうような態度。
でも残念ですね、篠原様。
僕は貴方が卒業するまで想い続けます。
これで僕が諦めると思ったら大間違いです。
少し暗くなっちゃったけど篠原様の想い人に迷惑がかからないように気持ちを伝えます。
篠原様はうんざりするかもしれないけどいつも通り無視してくれていいです。
ただ貴方に想いを寄せる人がいると知っていて欲しいです。
貴方は誰よりも魅力的な人だから。
「篠原様、お慕いしております!」
例え貴方が覚えていなくても。
サザンカ
(白)愛嬌
あなたは私の愛を退ける
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