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新3年生
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チャリを漕ぐ。
田んぼと白線のその間。
細いコンクリートの道を走り抜ける。
この上り坂を越えて左。
曲がりくねる道を抜けて右。
ラストスパートは一本道。
目指すゴールはその先に見える青い門。
時間に追われるタイムトライアル。
気分は自転車レーサーだ!
全力で一本道をかけぬける。
「はよーございまーーす!」
「代田ァ!また遅刻かー!」
「いやまだ鳴ってないんで!!」
門をくぐり抜けると同時に、半のチャイムが鳴った。
「セーフっ」
「明日はもっと余裕もって来い!」
「はーーーい」
返事だけは素晴らしい。
もう2年続いたタイムトライアルが、あと一年で変わる訳がないけれど。
ようは遅刻しなけりゃいい話ってことよ。
チャリをとめて下駄箱に向かう。
クラス発表の貼り紙。
時間も遅いからか人はまばら。
自分でだって言いたかないが、
俺はちょっと、
ほんの若干、
少しだけだけれど……
周りに比べると背が、高くない。
こういうのは混んでると見にくいんだ。
空いててラッキー!
端の貼り紙から順に見始める。
が、丁度よく見知ったやつがいた。
「浅間!はよ」
「ん?おお!代田じゃん」
「見つかった?お前何組?」
「3組。代田もだぜ」
「まじ?よっしゃ」
確かにあった。
3組の欄には俺の名前。
代田翔真
黒川に平塚、鈴谷も同じ。
浅間と木戸はついに3年間一緒かぁ。
女子も含めて、3分の2くらいは知り合いだ。
「知ってるやつばっかだな」
「3年いりゃそーなるだろ」
そりゃそうだ。
ましてやコースの分かれる高校だから、自然と絞られてくる。
やりやすくていい。
浅間と並んで教室に向かう。
今日から3年。
一階分しか階段を登らずに済むってのは最高だ。
「いやーでも、今日から代田って呼びにくくなるな!」
「は?何でだよ」
「見てねーのか?もう一人のシロタだよ」
「あの、シロタケイ?」
「そ。同じクラスだぜ。ダブルシロタ」
見てなかった。
もう一人のシロタ。
俺じゃない方の、シロタ。
そいつはかなりの有名人。
俺たちの学年、いやこの高校でシロタと言えば「シロタケイ」だ。
モデルのような顔とスタイル。
スポーツは万能。
成績も常に学年トップ。
クールなイケメン、「シロタケイ」。
俺は会ったことがない完璧超人。
もう一人のシロタ。
騒がれ方が芸能人みたいで面白いなと思っている。
仲良くなれたりしねぇかなぁ。
おんなじシロタだし。
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