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〜第1章〜「レッドコランダムの意味」
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今日、僕の恋人が僕の目の前でトラックに轢かれて逝ってしまった…
自分を守ろうとして、あいつが犠牲になってん。アニメの中じゃかっこいいかもしれんけど、現実じゃダサいで…俺を置いてかんといて…
トラックに轢かれた直後のあいつの顔は笑ってたな…何考えてんねんほんま…
そう俺は考えながら家へ帰った。
「ただいま。」
「おかえり…って何があったんや?そんなこの世の終わりみたいな顔して。」
俺にとっては ホンマにこの世の終わりやっちゅうねん。
「ううん。なんでもない…今日は飯いらんわ。」
そう俺は言って部屋に閉じこもった。
「あっ、そう…」
「何があったんやろ」
〜主人公の部屋〜
「光(ひかる)…」
そう俺は恋人の名前を言って光の姉から貰った光の眼鏡と光がくれたルビーを眺めた。
あいつはなんでルビーなんかくれたんやろ…
考えてもなんも戻ってこうへんわ。俺は机に向かった。
「うっ…」
机の上には光とのツーショットと光だけの写真があった。どれも天使のような笑顔だった。轢かれた時とは違う別の笑顔…それを見た俺は泣き叫んだ。
「和英!?」
和英とは俺の名前だ。
「兄さん…今はほっといて…」
今は兄さんには悪いが、話す気力はない。
兄さんは俺に近寄ってきた。
(怒られる…!)
「あんた、何か辛いことがあったら僕に言うんやで。一人で抱え込まんといてや。」
そう兄さんが言って、俺を抱きしめてくれた。それがまた嬉しくてまた泣き叫んだ。兄さんは優しい笑顔で俺を優しく撫でてくれた。
(光も1回してくれたな…)
落ち着いてくるとそんなことを考えていた。
そう、俺は恋人という名の光に溺れている(依存している)のだ。光は俺を優しく包んでくれる。光の水の中は心地よくて抜け出せない。
「和英?」
あっ、やべ、取り乱してた。
「ごめん、ごめん」
「あっ、和英ご飯食べれそう?」
今は食欲無いし今日くらい飯抜くか…
「ううん。今はちょっと食べれそうにないわ。ごめん。」
「別に構へんよ。食べれそうやったら言うてや、一応作っとくから」
兄さんはホンマに優しいな。
「ありがとう。」
そう俺が言った後、兄さんは笑顔で部屋から出ていった。
兄さんは、部屋を出た瞬間に狂気の笑みに満ちていたなんてのは後で父さんから聞いた。
ー翌日ー
「兄さん、おはよう。」
「おはよ〜あれ?和英、随分と起きんの早いな」
兄さんこそ随分ご機嫌やな…何かいい事でもあったんかな?
まぁ、今はそんなことええか…
今日から俺は光として生きてくんや。
朝、俺は洗面台へ直行した。
自慢だった長い髪をバッサリ切って、天パだった髪を頑張ってストレートにした。そして、光の眼鏡をかけた。光の眼鏡は無事だったからな。
(そういえば、なんでルビーなんかくれたんやろ…なんか特別な意味でもあんのかな…)
「ルビーの石言葉は[愛の象徴]なら『純愛』『仁愛』『愛の炎』『深い愛情』『愛の疑惑』があるけど…あいつのことだし『愛の疑惑』はないだろ。[情熱の象徴]とかもあるけど、それは無さそうだなw」
そんなことを呟いていると
「和英〜朝飯出来たで〜って、なんなんその髪型、自慢の長い髪は?天パは?」
兄さんは少し驚いていた。
「髪は切ったし、天パも頑張って直してんで」
「ふ〜ん。とにかくはよ朝飯食べや」
兄さんは興味なさげだった。なんだよ「ふ〜ん。」って聞いてきたんそっちやろ。
「はいはい、今からそっち向かうわ」
俺はそう言ってからリビングへ向かった。
『僕は和英に[深い愛情]って意味を込めてルビーを送ったんだよ』
「光!?いるならいるって言ってくれよ!」
返事はなかった。空耳だったのかな… それに、「ルビーは『深い愛情』って意味を込めて送った」って…ほんっと光らしいな。
どこか遠くで天使のような光の笑顔が見えた気がした。
2020年3月4日
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