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コンプレックス3
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そう言うとスルッと僕の腰に手を回してきた。
あまりにも近く、驚きもあって顔を背ける。
「…ジノ、こういうのは女の子にしてあげなよ、その方が喜ぶでしょ…」
「女の子にはこういうことはしないよ。本気になられちゃうからね。ボクが欲しいのはハルだけだから」
離れようとジノの体を押しのけるもその手を捕まれさらに抱き寄せられた。
さっきより密着度が高い…
「ちょっとジノ、離して…」
「ジノ、出来損ないに触れるとお前まで出来損ないになるぞ」
「……エル、キミってばいつもそんな言い方しかしないよね。ボクが今本気で口説いていた相手になんてこと言うんだよ…」
エル兄様が声をかけると渋々僕から手を離し、パッと表情を変えて笑顔を向けた。
「まぁ何がともあれ久しぶりだね。元気そうでなによりだよ」
「つい半年前に会ったばかりだろ。何が久しぶりだ」
「よく覚えてるね。そんなにボクのことが大好きなのかい?全く困ったものだよ…老若男女問わず好かれるなんてボクは罪深い男だね〜」
「黙れ」
大袈裟にエル兄様に言うジノ。
そんなエル兄様は眉一つ動かさずにあしらっていた。
「…ハルディア、もう部屋に戻りなさい」
「え、でもまだ挨拶が…」
「戻りなさい、お前がいるだけで空気が悪いんだ。それともなんだ、お前はこの場の空気を悪くしたいのか?」
「……い、いえ…ごめんなさい、戻ります…そ、それじゃあジノ、おやすみ。エル兄様もアンジェさんもおやすみなさい」
俯きながら3人に頭を下げて挨拶をすると急いで会場を後にする。きっとジノを僕に近づけさせたくないんだろう。
それは僕がオメガだからっていう理由だけじゃなく、エル兄様が単に僕のことを気に食わないから。…だと思う。
今日はエル兄様の機嫌が良いと思ってたんだけど…
またなんか知らない人に相当の嫌味を言われたのかな。
今夜からしばらくジノが泊まるみたいだし、いつもより気をつけて家の中を歩かないとダメだな…
そろそろヒートも来そうだし、早めに別邸に行こう。
僕は本邸を後にし、その日は別邸で夜を過ごした。
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