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コンプレックス4
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今日第3木曜日の夜、『深く闇が満ちた時、光は混沌へと導くだろう』という何とも恥ずかしい合言葉を言う。
誰が考えたんだこんなの。
僕はライに連れられて闇市へと来ている。
事の経緯はこうだ。
昼過ぎに散歩をしていたらライが突然庭にやって来て、
「今日闇市あって行くんだけど、ハルも来る?」
「え」
色んな意味で驚いてる僕をよそに、とりあえずここじゃ何だしと促されたので理解がまだ追いついてないけれど部屋に入り紅茶を淹れた。
「それで話を続けるけど、大丈夫?」
「う、ううん、まだダメ。どういうこと?闇市って、先日言ってた闇オークションのこと…だよね?」
「そう。獣人のね。αとかΩとか関係なく奴隷を売り捌いてるっていう話のやつ」
「なんでそんなとこにライが…?もしかして…」
「ちょ、待って?俺にそんな趣味ないし、他の貴族に勝てるほどの財産は無いよ」
淹れた紅茶をライにも渡して座る。
ライが言うには商人として知っておく必要があるらしい…
裏の事まで知らなきゃならないんだ…商人て大変だな
てか財産があれば買ってたのかな。
「じゃ、話戻すね。さっき俺は商人として知っておく必要があるって言ったけど、もう1つ理由があるんだ」
「もう1つの理由?」
「そう。結構前に父さんと一緒に街で物を売ってた時によく買いに来てくれた獣人の母親と子供がいてさ」
ライのお父さんが毎年行ってるらしいのだが、ライと一緒に行った翌翌年辺りから見かけなくなったのだそうだ。
一昨年にこの辺りで食事をしていた時に息子だけを見かけたらしい。
ただ1つ違うところがあった。
貴族だった彼は会った時奴隷の姿をしていた。
「ってことはもしかしたら闇市に…?」
「そうなんだよ。売られていなければいるはずなんだ。前から潜入して売られていた子達を見ていたけど大体は子供が多いしΩばかりだから多分大丈夫だと思うんだけど…」
「その人ってαなの?」
「うん。成人もしてるはず」
なんとも可哀想な話だ。名前も姿も知らない彼からしてみれば同情なんか要らないだろうけど、僕はライの知り合いというのもあり助けたいと思った。
父様にもこのことを伝えて徹底的に奴隷制度を禁じないと
彼だけ助けたって他の人達だって…
「俺も行くよ、闇市。今夜だっけ?」
「そう、今夜集会場で行われるよ。…本当に大丈夫なんだね?」
「そんな取引があるってわかってるのに黙って見過ごすわけにはいかないよ」
「分かった、それじゃあ守って欲しいことが幾つかあるからちゃんと覚えてね」
ライに約束、と言われたことは
絶対素性を明かさないこと、本名はもちろん顔も仮面で隠すのが絶対。
会場内で声を出さないこと。僕はよく街の人達と話すことがあるので声を出せばバレてしまうから。
オークションに出されている獣人が何をされても、止めに入ったりしないこと。
それと…
「その場にいる人間と誰とも会話したらダメだよ。主催の人がたまに紛れているんだ。目をつけられたら最後、ハルもあの獣人達と同じ目に遭うから」
「…わかった。」
「しつこく話しかけられても無視をするんだ。だから会場内では俺とも赤の他人のフリをしてね」
僕は静かに頷いた。
「あと、必ず薬を持ってきて。中には発情期のΩもいるから」
「発情期のΩまで…?それって…」
「αがほとんどいる中投げ出される、意味はわかってるよね」
嫌ってほどわかる。
それがどれだけΩにとって恐ろしいことなのかも。
「どうする?引き返すなら今だよ」
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