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コンプレックス11-ノワールside-
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翌日、俺を買った男と部屋で話をした。
「さて、まず自己紹介からしようか。キミの名前を教えてくれる?」
「……ノワール」
「ボクの名前はジル、よろしくねノワール」
「どうして俺を買ったんだ?あんたαだろ?」
「…何を勘違いしているのか分からないけど、別にキミを奴隷や番にしようとも思ってないし、何もしないよ。ボク自身はね」
「どういう意味だ…」
「そのままの意味。この家のハルディアって子がいるんだけど、その子と仲良くなって欲しいんだ」
「は…?」
含みのある言い方をしていたから、なんか良くないことでも考えてんのかと思いきや、普通にそのハルディアって奴を気にしてるだけ…
紛らわしい顔しやがって…
「キミを奴隷として扱うと可愛い可愛いハルディアが悲しんでしまうからね。だからキミのことを虐げたり、奴隷らしく扱わない。でも、ボクの言うことは聞いてね?これ絶対」
「…あぁ、わかった」
「聞き分けはいいんだね?」
「異論がなきゃなんも言わねぇし何もしねぇよ」
「もしあったとしても噛み殺すことだけはしないでね〜」
芯があるやつだと思えば掴みどころがないやつだ。
接しづらい…
「とりあえず、キミの中でボクは命の恩人でボクの友人になったから、接し方気をつけてねって思ったけど、さっきと同じでいいや。まぁでも、この設定は必ず忘れないようにしてね」
面倒だ…と思いつつ俺は頷いた。
どうして恩人で友人とかいう設定なんか面倒なものを取り付けるんだ?意図があるんだろうか…
「そうだ。ちょっと頼まれごとしてもらってもいい?」
気味悪くにっこりと笑えば、ハルディアって奴の匂いを嗅げとかさらに気色悪いことを言ってきた。
全力で引いてると、静かに弁解してきた。
「キミが思ってるような人間じゃないからねボク。気になることがあるだけだから」
「それでどうして匂いなんか」
「多分彼はΩなんだ。でもこの家の教育方針的にαしか育てないから、αのフリをしているんじゃないかなって。ただ疑問を確信に変えたいだけ。この後接触するだろうから、その時にどっちか嗅ぎ分けといて。鼻はいいほうだろ?」
αしか育てない家庭なんてほんとうに存在するんだな…
Ωなのにαのフリをするなんて、相当な苦労をしただろうに
つか、同じαならΩのフェロモンの匂いは微量だが分かるはずだ
周りに相談出来るやつがいないからこうしてもう1人の意見を聞こうとしてるのか?
複雑な気持ちのままジルについて行くと、本当にばったり会った。
こいつの名前…確かハルディア、だっけ…
俺はこいつを見た瞬間昨夜と同じような感覚になった。
相手もそれは同じだったようで、ジルと話が終わるとさっさとどこかへ行ってしまった。
まさか、昨日のやつと同じ人物…?
仮面をしていたから分からなかったが、この感覚、あの匂い…間違いない。それと昨夜だけじゃなく前にも会っている。
それは数年前、俺が貴族達に虐げられてる時に助けてくれた人間。Ωがαしかいない中に間に割って入って来るもんだから驚いたけど、良い奴だということはとてもよくわかった。
もう会うことは無いと思ってたのに
さっきから心臓がうるさい
発情期でもないのにとなるとやっぱりあのハルディアが原因
昔母親が話していた『運命の番』と言うやつなのだろうか
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