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コンプレックス13-ノワールside-
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「あ…えと、服は届き…ましたか?」
その正体はハルディアだった。
こいつはバカなのか?何故1人でαの所に来るんだよ…
Ωとしての自覚を……あぁ、こいつはαのフリをしてんだっけ
「さっき来た」
なるべくこっちに近づかないように素っ気ない態度で返事をする。
できることなら面倒事にはなりたくねぇし
「あ、そうですか…し、食事はどうですか?口に合いますか?」
「あぁ」
「…………」
話が終わったんなら部屋に戻れっつの…!
もう少し危機感持ってくれよ頼むから。
…とはいえ、ハルディア自身も気になっているんだろう、俺の事を
とりあえず名乗っとくか…
「…あ、えと」
「ノワール」
「へ?」
「名前、オレの。ノワール・アグリ」
「ノワール…いい名前ですね」
「…お前は」
「あ、僕…俺はハルディア。ハルディア・アイン・バルド」
アイン・バルド…その名前を聞いたことがあった。
確か俺が小さい頃、父さんがここの貴族様が一番偉いとかなんだって言ってたな…
差別的発言こそはしなかったが、態度で分かるほどのΩ嫌い
…でもそしたらこいつはどうして?Ωだと分かっているならさっさとあの人なら追い出しそうなんだけどな…
実の息子だからか?それとも何か別の理由があってαのフリをさせて生活を送らされてきたのか…?
「あ、あの…?」
「あぁ、覚えとく。あと、敬語要らないから」
「…分かったよ、ノワール。短い間だけどよろしくね」
「あぁ」
短い間、ね。
ジルは一時的にここに泊まってるだけらしく、仕事が一段落すれば自邸へ帰ると言っていた。
丁度食事も終わり伸びをする。
久しぶりに美味しいご飯を食べられて満足だ。
すっとある匂いが鼻腔をくすぐった
ここにいる人間は皆α…この匂いはやばいな
Ωの発情期の匂いだ。
「…ハルディア、部屋の鍵を閉めろ」
「え、どうして…」
「いいから早く」
部屋の鍵を閉めている時に窓の鍵も閉めた。
きっと意味なんかないだろうけど、何もしないよりマシだ。
そんなことを考えていると、更に匂いが強くなった
俺自身もそろそろまずい…こいつはもう…
「はつ、じょうき…」
Ω特有の発情期に入ってしまっている。
当の本人はなぜ今来た?と言わんばかりに顔が青ざめている
「ハルディア、薬は?」
「あ…持って…きてない…別邸にあるんだ」
ハルディアの意識がハッキリしてる今しかない。
「こっちに来い、今から別邸ってとこに行く」
「っ、でも外に出たら…」
「大丈夫だ。ベランダから行けば誰とも会わずに行ける…頼むから早くしてくれ、意識がしっかりしてる今しかない」
なにか躊躇う様子だったがふらつきながら俺の傍へ来た。
お互いに限界が近い中、ハルディアを抱えて案内してもらいながら別邸へと走って向かった。
本邸が騒がしくなっていたことは俺たちは知らなかった。
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