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コンプレックス15
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色々考えていると涙が出てきた。
死ぬまでずっと付きまとってくる、第三の性というもの。
本能的に求めてしまったとはいえ抗えないΩの性(さが)。
何故僕はαじゃなかったんだろう…
こんなαの巣窟なのに…弟がΩだったら僕のことも大事にしてくれたんじゃないかって、Ωでも愛してくれていたんじゃないかって思ってた…
でもきっと、弟と一緒に家を追い出されてたと思う。
第三の性なんか無くなってしまえばいいのに…
普通に生活を送りたい…
声を押し殺して泣いていると、人が全く来ない別邸が騒がしかった。
何があったんだと思った矢先に僕達のいる部屋の扉が乱暴に開けられた。
「ハルディア…貴様…」
「!?エ、ル兄様…」
「…おい、こいつを地下に入れろ。父様に知られる前に早く!」
「待ってください!話を…!」
「貴様の話なんか聞かん!…本邸中がパニックになったんだ、下品なオメガのせいでな。来てみればなんだ、ジルの友人とやらに抱かれていただと?オメガの分際で…卑しいにも程がある」
「エル兄様!嫌だ、離して!」
腕を引っ張られ、必死に抵抗するも力虚しく全くの無意味だった。
ずるずると引き摺られて行こうとする僕を引っ張って引き戻してくれたのはノワールだった。
「実の弟に何やってんだアンタ」
「……何?お前はアルファで、客人だから見逃してやってるんだ、早くその手を離せ。貴様は被害者だろう?」
「ハルディアが嫌がってんだろ。丁度発情期が重なっただけで不可抗力だろこんなん。むしろ被害者なのはハルディアの方だろ、仕方ねぇことにそんな厳しくされて」
「部外者が口を挟むことではない。ジルが待っている、お前はそこへ早く向かえ」
「…行くぞ、ハルディア」
「え!?ちょっ、ノワール…!?」
ノワールは立ち上がり、僕の手を引いて出入口に向かう。
突然のことに動揺が隠せず間抜けな声を出してしまった
あと一歩で出れる所にエル兄様が立ち塞がった。
しかも凄い剣幕で。
「ジルの友人とはいえ身勝手な行動は慎んでいただきたいのだが?そのオメガを庇うということは、自分がどうなるか分かっているのか?」
「…ノワール、ぼ…俺は大丈夫だから」
「ハルディアはそれでいいのか?」
「え…」
「ハルディア、その獣人から離れろ。乱暴に地下へ連れられたいか自分で行くか選ばせてやる」
その言葉に僕はビクッと跳ね上がる。
乱暴に連れてかれる、その言葉の意味を知っているから
「じ…自分で行きます……」
「…ふん、だったら早くしろ」
ノワールに掴まれた手をそっと解き、エル兄様の所へ行く。
大人しく従った方が身のため…
さっきの言葉の意味は地下に連れてかれたあと、躾が酷くなるという意味なのだ。
強制的に性行為もさせられることも有り得てしまう、何度かあったから分かる。
エル兄様の少し後ろを歩く。
僕はずっと頭の中でさっきノワールが言っていたことがグルグル回っていた。
ーーハルディアはそれでいいのか?
いい…とは思ってない、でも…
僕の家庭はこうなんだって受け入れないと…
本当は全然良くない。あの手は離したくなかった。
ノワールについて行けば、僕は救われる気がしていた。
でも、それが出来ないから…
僕は一生この檻の中に閉じ込められて生きていくしかないんだ。
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