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コンプレックス16
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とりあえずほとぼりが冷めるまではここにいろ、と言われ僕は地下に入れられた。
地下っていうか、牢屋というか…
幼い頃に反省部屋として何度も入れられた記憶がある。
この部屋に入ると僕は本当に家族として必要ない人間なのではないかと改めて思ってしまうから嫌だ。
よく泣きながら謝ってたっけ…
懐かしんでるけど、今でも変わってないんだよな
今はさっきみたいに無理やり連れてかれるから、昔より悪化してるかも。
「……今回は僕が全面的に悪いし、仕方ないことだけど…」
エル兄様はお父様に事がバレる前に、と言っていたけど、きっと僕が発情期になったっていうのは知られているはず。
僕はΩの中でも一際強いんだって、乳母が昔に言ってた
物思いに耽っていると足音が聞こえ、侍女が食事を持ってきてくれたのだろうと思った。
だがここに現れた人物は侍女ではなくジルだった。
「ハル…!本当にここに閉じ込められているなんて…」
「っ……ジル、どうしてここに?家族以外入ってこられないようになってるはずなのに…」
「エルに頼み込んだら少しだけならって許しが出たんだ。エルは躾だと言っていたけど、何があったんだい?」
僕がΩで発情期が来てジルの友人のαを誑かしたから…なんて言えない。
ジルには僕がΩって話してないし、エル兄様も話してないってことはきっとそういうこと。無駄な事を言うな、と言っているようなものだ。
「…ううん、ちょっと俺がヘマしちゃっただけだよ。エル兄様にそれがバレてこうなってるだけだから」
「ハル……こんな生活辛くはないかい?同じαなのにどうしてハルだけ厳しく躾られているのか…ボクはキミが本当に心配だよ…いつ壊れてしまうんじゃないかって」
「心配してくれてありがとう、ジル。俺は男だし、ジルが思ってるほど弱くないよ。こんなに厳しくされてるのは、エル兄様やリドが俺なんかより賢くて優秀だから賢くない僕はそうされないとダメなんだ」
ジルはどこか納得いかない、と表情に出ていたがただ一言、そっか、と小さく呟いた。
嘘ついてごめんね…
僕の本当の性はΩだけどαなんだ。
だから常に厳しくされているし、僕自身も常に完璧でならなきゃいけないんだ…
「ハル、キミは誰よりも優秀で雄弁だ。並外れた努力してきた姿をボクはずっと見てきたんだから、そんなに自分を卑下するのはやめようよ。そんなこと言ってたらキミを認めてるボクまでも否定することになってるからね?」
「ジル…ごめんね、ありがとう…」
僕を励ますように明るく話をしてくれた。
ジルは昔からそうだ。僕がしょげてたり、何かがあるとすぐに僕のそばに来て笑わせてくれていて、そんなジルが僕は好きだった。いや今も好きだけど。
ジルが兄だったら今よりもっと楽しく生活が送れているのではないかと度々思っていた
「ねぇハル、キミさえ良ければボクの家に遊びに来ないかい?外に出て家から離れればキミもリフレッシュ出来るだろうしさ」
「ジルの家に…?そ、そんなことをしたらお父様やエル兄様に怒られちゃう…」
「実は2人からは許可を得たんだ。一筋縄ではいかなかったけど、説得したら何とか納得してくれてね。だから後はハルが決めるだけだよ。ハルはどうしたい?」
お父様とエル兄様が許してくれた…?
そんな奇跡に近い事、起こるんだ。
ジルだから…なのかな?
できることなら行きたい、けど、発情期が完璧に終わったわけじゃないし…
「ハル?大丈夫?」
「あ、だ、大丈夫…ごめん、黙っちゃって」
「ハルが嫌なら無理強いはしないよ。ただの提案だから、深く考えないで?それに、ボクがただハルと遊びたいだけだしさ」
「……僕、行くよ。ジルの家に」
「本当かい!?良かった〜…実は拒否されるかと思ってたんだ」
「俺もジルと遊びたいから、いい機会かなって」
薬もちゃんと飲めば大丈夫だし、色んな抑制剤常に持ち歩けば何も問題ないだろう。
それに終わりかけだし、終わったも同然でしょ。
「そしたら今すぐ準備しよう!善は急げだよ、時間が無くなっちゃうからね」
ジルはポケットから鍵を出し、牢の鍵を開けてくれた。
僕は自室へ行き、準備をしてからジルの指定した待ち合わせ場所へと向かった。
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