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ゆっくりと、着実に…-ジルSide-
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ボクはジル・キーファ。αでヘビの獣人だ。
エルディーンとは幼馴染で、エルディーンの弟達のオムツを変えてあげたりもしたっけ。昔から家同士が仲良しなんだ。
ヘビの獣人って言うだけあり、目がキツかったり顔に蛇柄が入っちゃったりと周りを怖がらせてしまう事が多かったけど、唯一エルディーンはそんなボクを『かっこいい』と褒めてくれた。そこから彼と仲良くなったのだ。
ボクとエルディーンが10歳でハルディアが5歳、リドアはあの時1歳かな?それくらいだった頃、ボクがバルド家に遊びに行った時だった。
ハルディアがエルディーンに虐められているのを見てしまった。
咄嗟に止めに入ったが、何故止められたかエルディーンは分かっていない様子だった。
「お父様がこいつは出来損ないだから、厳しく躾をしないと分からないんだって。だから殴って分からせてるんだ、僕が兄で偉いんだってね」
それを聞いたボクは愕然とした。
それと同時に、あぁこの人は王になる存在故の考えなのかとも思った。
「えぐっ、ひっく……ジルにーちゃぁ…」
「っ、ハル…!痛かったね、もう平気だよ」
「うわぁぁあんっ」
ボクはその日を境にハルディアを1人にさせないように努力した。
エルディーンの話が本当ならあの家にハルディアの味方は居ない…ハルディアを守れるのはボクしかいない。
寂しくさせないように出来るのはボクだけだ。
ボクはバルド家に泊まりに行ったり、ボクの家に泊まらせたりと子供ながらにあらゆる手を使っていた。
それを続けていたせいか、ハルディアはボクにとても懐いてくれた。ボクといる時には笑顔が多くなったし、なんでもボクと一緒がいいと言ってボクの真似をするようにもなった。
本当の弟が出来たみたいでボクも嬉しかったし楽しかった。
ただ、ボクの年齢くらいになれば外交に参加するためにダンスの稽古や今後に必要な勉強など色々とやることが増える。
ボクは日に日にハルディアに会う時間が少なくなっていってしまった。
週に1度会えればいい方だ。それくらい忙しい日々を送るようになった。
久しぶりにハルディアに会った日のこと。
お昼寝をしようとハルディアの部屋のベッドで絵本を読み聞かせしている時だった。
「…ねぇ、ジルにいさん」
「うん?どうしたの?」
「ぼくね、今よりおおきくなったら、ジルにいさんみたいな人になるんだ。だから今ね、お勉強すっごく頑張ってるの」
まだしっかり勉強をするほどの年齢でもないのに、ハルディアは兄のエルディーンよりも難しい勉強をしている。
机に置いてあった紙にはボクが今やっている授業の内容が書いてあったのが見えた。かなり複雑な内容のはずなのに、きちんと正答が書かれていてボクは驚きを隠せなかった。
「それでね、ジルにいさんのそばにいても恥ずかしくないように、マナーも教わって完璧になるから…だから、ジルにいさんだけはっ…ぼくのこと、見捨てないでね…っ…」
ハルディアは泣き顔を見せたくないのか、ボクに抱きついて泣きながら言ってきた。
この小さい身体にどれだけの苦痛を与えられて重りを乗せられているのかボクには分からない。
本当に守りたいものすら守れず、ただこうして一緒にいるしか出来ないだなんて…
どうやったらハルディアは報われるのだろうか?
ボクが大人だったらハルディアを守ってあげられるのに
いっそハルディアをボクの家に連れ帰って両親に本当のことを伝えれば守ってくれるのではないか?
いや、それだとハルディアの両親にも必ず話しが行くからダメだ。そんなの意味が無いし、またハルディアに矛先が向く。
ハルディアに危害を加えさせず、安全にボクの手に届くとこに置いておくにはもっと知識と才と、名誉と社会的地位が必要か…?
「泣かないでハル。大丈夫、ハルならできるよ。だからボクはずっと待ってるからね。ハルがいつ来てもいいように準備して待ってるから」
「っ、うんっ…!待っててねジルにいさん、これからももっともっと頑張るから!」
そんな約束をしたあとからめっきりプライベートでは会えなくて、たまに立食会とか式典、パーティなどで会うことが多くなった。
たまたま会ったその時に2人で話をしたけれど、相変わらずハルディアに対しての風当たりは強いらしい。
ハルディアは笑っていたが相当辛い思いをしているのは顔を見れば分かっていた。
ボク自身も酷く心が傷んだが、ハルディアの受けてるものとは比べ物にならない。比べてはいけない。
安心してハル、もう少しでキミを守ってあげられるから
誰の邪魔も入らないボクとキミだけの空間をサプライズでプレゼントしよう。
ハルの子供の頃の夢をやっと叶えてあげられる。
喜んでくれるよね?
でも焦ってはいけないよ。
ハルディアに会うのにまた期間が空いてしまったからね
ゆっくり、着実にキミの思考をボクだけしか考えられないようにしないとね
そのためには使えるものを最大限に利用しないと。
あのクロヒョウの獣人も使いようによっては何とかなりそうだし。
1億かけて買っただけあるな〜……あ、この話、ハルディアには内緒ね?
あの時のハルディアの焦りっぷりは見てて可愛かったから、ついからかいすぎたよね〜
あの子にも感謝しないとだねぇ…
ふふふっ♪ついつい口元が緩んじゃうなぁ…
ボクはもう楽しみで仕方がないよ……ねぇ、ハル?
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