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コンプレックス17
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待ち合わせ場所に向かえば、ジルが手配した馬車に乗ってキーファ邸へと向かった。
着けばすごい人数の使用人達とジルのご両親が僕達を迎えた。
「おかえりなさい、ジル。ハルディアちゃんもおかえりなさい」
「2人ともお疲れ様。ジル、エルディーン君との仕事は上手くいったかい?」
「ただいま母様、父様。もちろん上手くいったよ、大成功だ。もっとこの国で平民達が住みやすくなる制度をやっと取り入れられたからね。低い爵位の人達が不服そうだったけど何事も無ければこの制度が習慣化されると思うよ」
「そうか、今回の事はジルに任せて正解だった。よく街に出向いてるから適任だったな」
「もう、遊び呆けるのはもうやめなさい、って言いたいところだけど強く言えなくなっちゃったわねぇ…ハルディアちゃんからジルに言ってあげてくれる?」
「母様、なんでもハルに擦り付けるのやめてくれる?ボクが断れないからって…」
「だって私から言っても聞いてくれないじゃない。だったら…ねぇ?」
「ミンフィア王妃、俺から言ったところでジルは目を盗んで外に出かけてしまいますよ」
「ちょっと、ハルまで…」
ふふふっと僕と顔を見合わせて、ジルの母ミンフィアと笑った。
「それはそうと、ハルディアちゃん今日は家に泊まるの?」
「それはもう盛大な兄弟喧嘩をしたから、見兼ねたボクが連れてきたんだよ。ハルってばエルに昔から泣かされてばかりだからね」
「も、もう今は泣いてないよ!」
「あらあら、仲良しなのねぇ」
仲良し、か…
ただの兄弟喧嘩だったらそう見えるのかもしれないけれど、そもそもエル兄様は僕のことを弟だとは思っていない。
もし、僕がアルファだったら仲良しな兄弟になってたのかな…
「ハル、長い時間馬車に揺られて疲れただろう?部屋でゆっくり休もう」
「あ、うん…」
「そうだ!お食事はみんなで一緒に食べましょう、久しぶりにハルディアちゃんに会えたんだもの、今日はご馳走よ。ねぇあなた?」
「そうだな。それまでゆっくりしていなさい。ハルディアとも色々な話もしたいからな」
ペコッと一礼をし、ジルの後をついて行く。
ここの家族は暖かい良い家族だ。
僕の家にはないものばかり
「ジル様…!」
部屋に入ろうとした時、1人の使用人がこちらに駆け寄ってきた。凄く急いでる様子だった。
ジルは僕に、先に中に入って休んでいていいよと言い、その使用人とどこかへ行ってしまった。
何があったのだろうか…
部屋にあるソファに腰をかけ、一気に脱力する。
父様や兄様に何も言わずにジルについてきたけど、本当に大丈夫だったのかな…今更になって不安になってきた。
それとノワール。
彼はあの後どうなったのかな…
「…にしても、クロヒョウの獣人でアルファって……」
どう考えても闇市で見た獣人と同一人物なんだよな…
クロヒョウって相当珍しいし、ジルは拾ったって言ってたけど本当に拾われたのかな…
「…やめやめ、人を疑うのは良くないし、本人達から何も聞いてないんだから憶測立てるのも失礼だよね」
僕は頭を横に振り、考えていることを振り払った。
色んなことが同時に起こりすぎて全部がネガティブ思考になってるし、今は何も考えないでおこう…
一息ついているとノックも無しに部屋の扉が開いた。
びっくりして僕は跳ね上がり姿勢を正した。
扉の方を目をやると、そこには先程心配していたノワールが息を切らして立っていた。
「な、んで…君がここに…」
「なんでお前が…っ、いいか、ここに俺が来たことは内緒にしてくれ。絶対だからな」
と言うと窓を開けてバルコニーへと出て行ってしまった。
突然のことに僕は目が点になりながら、また部屋に入ってきた人物に驚いた。
「っ!じ、ジル……どうしたのそんなに急いで…」
「ご、ごめんねハル……あのさ、ここに誰か来たかい?」
「え、だ、誰かって?」
「いや、来てないならいいんだ。騒がしくしてごめんね、少し執務室に籠るから、ちょっとゆっくりしてて」
それだけ言うとすぐに部屋を出て行ってしまった。
なんなんだ…みんなして…
てか、なんでノワールがこの家に…?
あ、拾ったって言ってたし、ジルがここに住まわしてるのか
僕は窓を開けバルコニーに出ると、ちょうど部屋の中から死角になるところに座っていたノワールに声をかけた。
「ジル、執務室に行ったよ」
「……あぁ」
※ ※"コンプレックス06"の最後のジルとノワールの会話を"コンプレックス12"の会話に合わせて変更しました。
混乱させてしまい申し訳ありません…
これからもどうぞよろしくお願いいたします。 ぷぁ※※
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