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無責任
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神様なんていない。
俺は今日も殴られ犯される。
痛くて…気持ち悪い。
嫌だと拒絶しても…
どんなに叫んでも…
助けなんて来ない。
「あ゛っ………ヴッ………」
【テメェなんか消えちまえ!!】
「ゔぇっ………」
【おいおい汚ぇなぁ!!吐くんじゃねぇよクソが…】
俺の嘔吐なんか気にもせず、腹に1発蹴りを入れる父。
その1発がさらに嘔吐を促す。
気が遠くなって行く…嗚呼……
薄れていく景色の中、こちらを見向きもしない母の姿が見える…
なんで俺を産んだ…なんで……
気が付いたのは深夜の2時だった。
放置されていたため、身体がギシギシで…固まった吐瀉物が左頬に付着していた。
「………。」
なんて惨めだ…
洗面台にタオルを濡らしに向かう。
部屋から母と誰かの声が聞こえた……女の喘ぎが耳障りだ。
再び吐きそうになり、口元を抑える。
「ゔっ………っ……」
何とか堪えながらタオルを絞り、顔と床を拭いた。
洗濯機に放り込み、自室へ入る。
誰にも打ち明けられない怒りと虚しさ…
引き出しを乱雑に開け、目当てのモノを握る。
1枚刃のカミソリ…
もう切る所などない程埋まっているが、気にせず刃をあてて横に引く。
「…………。」
生きていてごめんなさい…
生まれてきてごめんなさい…
許して下さい…
懺悔と共に腕を切る。
深く深く…深く……
沢山血が出れば死ねるだろうか…
死ねたら…こんな世界から開放されるのに…
「………。」
皆が賑やかしく校門を通っていく…
傷が絶えない俺を少し気にしながら、友人たちと会話を楽しんでいるが……俺にはそんな友人すら居ない。
居たとしてもきっと離れていく…
『おはよう!勇間!』
「…っ…!」
後ろから肩を捕まれ、居る筈の無い父かと思い肩を震わせる。
恐る恐るその主を見ると、長谷川が居た。
少し安堵した…
「お、はようございます…先生。」
『ん……驚かせてごめんな。』
「いえ…大丈夫です。」
長谷川先生…いつも俺を見つけたら話しかけてくれる優しい人だ…
きっとどの生徒にも隔て無く接しているんだろうな…
『勇間…』
「…っ!」
伸ばされる手が父と重なり、思わず顔を腕で覆った。
「ご、ごめんなさいっ……」
『あっ…ごめん!ごめんな!!』
頭を撫でながら、俺の顔を覗き込む先生。
優しい瞳で俺を見つめてくる。
今俺と接しているのは先生で…父じゃない。
大丈夫…大丈夫。
『もしかして…また…?』
「…………まぁ…いつもの事なので…」
長谷川は唯一俺の家庭内事情を知っている。
他の先生は何も聞いてこないのに、先生だけは俺に声を掛けてくれた。
『今も辛いだろうけど…本当に助けて欲しかったらいつでも連絡しろよ?』
「………うん。」
連絡……するタイミングなんてないよ…先生…
ズキズキと体中が痛み始める…
今日も殴られるのだろうか…蹴られるのだろうか…嗚呼、嫌になる…
『勇間?』
「あ…何?」
『ううん…いつでも話聞くからな。』
話を聞いてどうするんだろう…何かしてくれるのか…
駄目だ…先生でさえも信じられない…
こんな自分に嫌気が差す…
「ごめん…先生……俺ちょっと行くとこあるんだ……またね。」
そう告げて先生から離れる。
すると、いろんな生徒が先生に群がった。
俺と居たことで先生に近付けなかったのか…
『勇間!』
呼ばれて振り返ると、先生のみならず周りの生徒も俺を見つめていた。
ただ見つめていただけだと思うが、俺には軽蔑されている様に見える。
『いつでもいいからな!』
そう言いながら手を降る。
無責任だ…
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