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冷たい…
寒い…
暗い…
嫌だ…
苦しい…
こんなの…生殺しじゃないか…
それなら一息に殺してくれよ…
「……っ…」
腹部が痛くて熱い…
嗚呼、そうか…俺は親父に殺されたのか…
死にたいと願っていたのに…生きたいとも願った…
だからなのか…?
生きたいと願ったから…?
なら…いいよ……死ぬから…
-『勇間…っ…』-
その時苦しそうな先生の声が響いた。
先生が居る…?
「先生!!」
久しぶりに出した大声は思っていたよりも弱々しい…
いや、そんなことよりも…先生が………先生が待ってる…!
帰らなきゃ…帰らなくちゃ……
足掻き藻掻いて、進んでるのかすらもわからないけれど…無我夢中で手足をバタつかせた。
「先生!!俺…っ……俺!先生にっ!……っ!?」
突然白い光が全てを包み込んだ…
まるで…先生みたいに暖かかった……
帰らな……く、ちゃ………
眩しい光が眼球を刺激して、何度も瞬きを繰り返す…
慣れたのかゆっくりと目を開けても大丈夫だった。
「ん………」
ここはどこだろう…見慣れない天井…
『勇間!!』
[お、俺先生呼んでくるな!!]
手元には先生が居た……俺の手を強く握っている。
嗚呼、やっぱり…あの光は先生だった…
「せ、んせ………」
弱々しくて掠れた声で呼ぶと、先生は泣き始めた…
そしてまた強く俺の手を握った後、力無くベットに顔を埋めた。
『ほんと…っ……良かった……っ!』
安堵したような声は震えてて…なんだか俺まで泣きそうになった…
「ただいま……せんせ…」
『うん、お帰り……お帰りっ……』
笑った先生の顔は涙が出てて…胸が苦しい…
握られた手に力を込めると、応えるように先生の手も強くなった…
嗚呼、先生……先生……
「せんせ……俺ね…先生と…生きたい…」
『うん…』
「春は桜見たり……夏は海行ってみたい…」
『うん…っ…』
「あとね……あの日みたいなの…して欲しいな……」
『それは…退院してからだな…』
照れ臭そうに笑った先生の顔にはもう涙は無かった。
そのまま顔近づけ、おでこにキスをした。
『今はこれで我慢して?』
「……っ……」
恥ずかしい…
[おい、イチャつくな。]
『……んにゃろう。イイとこだろーが。』
「………。」
『ほら見ろ、勇間が茹でダコになっちまっただろ。』
[うるせぇよ。]
その後医者の人たちが入ってきて、色々検査された。
先生はそんな俺を心配そうに見ながらも、ずっと側にいてくれた。
検査が終わり、傷が良くなるまで入院だと聞かされた。
構わないけれど…先生との時間はお預けだ…
『そんな落ち込むなって…すぐだから。』
「うん…」
『何か…変わったな。』
「……え?」
『あ、悪い意味じゃ無くて…こう…なんだろうな……ふっきれた?みたいな…』
「あぁ………うん…なんか、ね…生きたいって思ったんだ…そしたら、なんか…もったなくて。」
俯いてた顔を上げて先生の方を見ると、驚いた顔をしていた。
『……じゃあ退院したら全部やろ。』
「うん…ありがとう先生。」
『さて、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…良いか?』
「?」
ベットの縁に座り、真面目な顔をした先生は俺の手を握った。
何を言われるんだろう…ちょっと…怖い…
『そんなに固くならなくて大丈夫……』
「う、ん……」
『勇間が嫌じゃなければ…って話なんだけど俺と一緒に…住まないか?』
頭が真っ白…
今…なん…
一緒に…住む……?
『すぐに返事は貰おうと思ってないよ、ゆっくり考えてみて欲しい。』
「……。」
『もし良いならちゃんと』
「住みたい……先生と一緒に住みたい。」
『良いのか…?』
あんな家に帰らなくて住むなら…先生とずっと一緒に居られる方が良い。
「うん。」
『分かった…じゃあ勇間が安心して帰ってこれるように、手続きしておくからな。』
「ありがとう…先生…」
頭を撫でてくれる先生の手が暖かくて…泣きそうになる。
『楽しみがあると、本当にあっという間に退院になりそうだな!』
太陽みたいに笑う先生…
眩しくて…暖かくて……そんな先生の傍に居られるなんて…
なんて幸せなんだろう…
こんな俺でも幸せになっていいのだろうか…少し不安になるけど…きっと先生だからこそ幸せになれるのかもしれない…
「先生……先生の事好きになってもいい?」
『………。』
驚いたような顔をした先生…
迷惑だっただろうか…
自然と顔が下を向く。
『勇間こそ…俺でいいのか?』
「……っ……先生は…俺を救ってくれたから…だから俺は生きたいって願うことができた…。」
『…うん。』
「先生が居なかったら今頃死んでた…。」
『……。』
寒くて冷たいあの場所で…誰にも気付かれずにきっと…
でもまぁ先生が…暖かい光が俺を見つけてくれた…
幸せになれる世界をもくれようとしてくれる。
「感謝してもしきれない……それに…気が付いたら先生が好きになってた。」
ぎこち無い笑顔を向けると先生が抱き締めてくれた。
強い力で…でも優しく…
「せんせ…っ……」
『ありがとう…ありがとう勇間…っ…』
「…泣いてるの…?」
肩が少し濡れたような気がした…
先生も…泣くのを我慢してたのかな…
先生の弱い部分が知れたような気がして、心が踊った。
『勇間が願う事全部叶えてやるから…っ…』
「うん…」
『嫌だって言っても、もう離さないからな…』
「うん…離さないで…」
俺を抱きしめながら泣く先生は少し子供みたいだ…
可愛くって…強い…俺の大切な光…
俺の神様…
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