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転校生-16 昏迷
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「遥さん、結城先輩の事は好きですか?」
「…好きだよ。」
まさかこの『好き』が恋愛感情の好きだなんて思わないんだろうな。
「じゃあ、この話を聞いても結城先輩を軽蔑したりしないでください。本当に結城先輩は何も悪く無いので。」
「結城先輩は…まあ、簡単に言えばいじめを受けていました。……性的な、です。」
性的な、?
さっと血の気が引いた。
「いじめ、?性的なって…」
「言葉通りですよ。俺は一年しか結城先輩と同じ学校に居れなかったので少ししか知りませんが。」
この時の心情は、なんて名前を付けたらいいのか分からなかった。
同情なのか、なんなのか。
色々考えてみたけどどれも違った。
「これは噂ですが、きっかけは部活の先輩で、その先輩が主犯だったらしいです。結城先輩への逆恨みで、仲間を連れてそのまま…。その先輩が卒業した後も、同級生にいいように扱われていたそうです。」
「そう、なんだ…。」
「はい。友達を作らないのも、これと関係あるんじゃないですかね。何せ友達だと思っていた同級生にあんな扱いを受けていたんですから。少なくとも中学の時は人と距離を置いました。だから、遥さんと同じ高校に通っていると聞いて、今はどうしてるか気になったので聞いてみたんです。」
…じゃあ、今まで結城くんはどんな気持ちで俺と一緒にいてくれたんだろう。
やっぱり、怖かっただろうか。
胸が締め付けられたように苦しい。
たまに見せるあの悲しそうな表情の意味がやっとわかった。
同じ事を繰り返すかもしれないと思っていたんだ。
避けていた友達を作ってしまったから。
結城くんの中で友達と裏切りは繋がっているんだ。
だから、また裏切られると思って。
「…結城先輩の事、嫌いになりましたか?」
嫌いになんてなれる訳なかった。
「そんな事ありえない。ありがとう、教えてくれて。」
「良かったです。まあ遥さんはこれを聞いても嫌いになんてならないと思ったから話したんですけど。…遥さんは、」
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