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3 会えなくても
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今日も俺はひとり黙々と半額のシールを貼る
シールを貼る時間になると、惣菜コーナーの周りにはお客さんが待ち構えていた
俺は人が得意ではない方なのでいつも冷や汗をかきながらシールを貼っている
それにしても、今日もご高齢の方が多いな
お客さんの大半は自分のおじいちゃんやおばあちゃん世代だ
「お疲れ様ッスー、今日も頑張ってるね☆」
隣からニカッと笑ってきたのは愛しのゆずるさんだった
「へ、…あ、ありがとうございます!」
いつもこの人と話すとどもってしまうから調子がおかしくなる
「今日は惣菜売れてる?」
「んー、まあまあ、ですかね…」
「そっかそっか!じゃあ頑張ってね!」
そう言って過ぎ去ってしまった…
えええええ、もっと話がしたかったのに
なにそれ、ただの業務連絡みたいな会話
まあ、そうだよな
ゆずるさんにとって俺はただの従業員
そもそもゆずるさんは品出しとレジの担当なので、こんな俺に話しかけてくれること自体、奇跡みたいなものだ!
俺の予想だと、ゆずるさんは正社員で歳は20代後半かな?
そろそろお互いの話とかできたらいいのにな、、
だけど、そんな俺に待ち受けていたのは…
就活だった…
バイトも2ヶ月間くらいほぼ行くことができなかった
「秋ー、内定もらえたか?」
俺はことごとくお祈りメールを貰いすぎてメンタルが落ち込んでいた
それに加えてゆずるさんにも会えていないし、、
「うん、実は昨日1つもらえたよ」
「ま、まじか!凄いじゃん!おめでとう」
少し焦りを感じたが、心の底からお祝いした
「大丈夫!悠ももうすぐもらえるよ!」
「ほんとかなー?」
半べそをかく俺に秋は優しくしてくれた
「IT系の企業を志望してるんでしょ?」
「そうだけど、俺やっぱ向いてないのかも」
「そんなこと言わないで!諦めなかったら大丈夫だよ」
「そうだな、まだ頑張ってみるよ、ありがとうな!」
それからは面接練習や能力テストの勉強など、できる限りの事をした
そしてついに、、内定を貰うことが出来た
なによりも、バイトでまたゆずるさんに会えるということが嬉しかった
「お疲れ様です!」
俺は今日とても嬉しくて、いつも以上に元気に挨拶をした
「お疲れ様ッ!あれ、久しぶりだね!」
俺が最近来ていないの分かってくれてたんだ…
うれしいっ!
「…はい!久しぶりですね」
「あはは、元気だった?」
「元気でしたよ」
「今日も頑張ろうねっ」
そんな感じで会話は終わった
でも、いつもより長く話せたし、俺のことも少しは気にかけてくれてた…のかな?
自惚れでもいい、嬉しい…
会えないのもたまには良いかも…
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