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転入、そして油断
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PiPiPiPiPi……!!!!!!
俺の部屋の中にけたたましい音が響き渡る。
ったく、完全に目覚めちゃったじゃねーか……。
……ん?待てよ、アラーム鳴ってるって事は……
「……まじかよ。」
時計を見ると既に10時。完全に寝坊だ。
確か1時間おきに鳴るはずだったんだけどな。どうしてこうなった。
まぁ、なんとなくだが理由は分かる。
ベッドに目をやると未だにスヤスヤと寝息をたてているみーくん。
そして、そんな彼の手には鳴り続けているアラーム時計。うん。完全にこいつのせいだな。
「おい!起きろ!!!!」
「ん~……もう朝ごはん?」
「寝ぼけてんじゃねえ!
「えー……」
目を擦りながらベッドから起き上がるみーくん。
この野郎……。
「……お前のせいで完全に遅刻なんだけど。この際だからもう行かなくていいよな、学校。」
「……元の世界に戻れなくても良いならね(^ω^)」
……ぐっ、こいつ、さっきまで寝ぼけてた癖に、いきなり痛いとこ突いてきやがる。
…………そうだ、話題を変えよう。
「そういや、制服ってどこにあるんだ?」
昨日、押入れとか探したけど無かったんだよな、と言い加えるとみーくんは頭を抱えて悩み込んだ。
「んん~……。主人公なら予め用意されている筈なんだけどな……」
……と言ったところで、玄関(?)の方からピンポーンという音が聞こえてきた。
おい、こんな朝から誰だよ……。俺に何か用事があったりするのか……?そもそも、この世界にみーくんしか知り合いが居ないというのに何故郵便物が……?
1人悶々としていると、痺れをきらしたみーくんがドアを開けに行った。
「おい!」
俺の制止を振り切ってドアを開けたみーくん。
お前まじで度胸あんな。すげーわ。
「おっ!なんか段ボールが置いてある!しかもちゃんと宛名は『五十嵐 尚斗』って入ってるよー」
は?普通は宅配業者がいるんじゃないのかよ。 なんで段ボールだけ?そんでなんで俺の名前と住所……。
まさか危険物とかじゃないだろうな……。
そこで俺は、みーくんにその場で開けろと命令。
友人を使うなんてなかなかゲスい行為だろうが今は、背に腹は代えられぬってやつだ。ん?意味違う?
「おー!!」
「何が入ってたんだ?」
「制服だよ!黎陽学園の!」
なるほど……。そうと分かれば俺も近付ける。
みーくんの上から段ボールの中を覗き込むと確かにそこには制服があった。
ブレザーか。俺の元の世界の高校は学ランだったからなー。なんか新鮮だ。
と、若干たそがれていると何やら熱い視線を感じた。
視線の先にはみーくん。
おい、なんでそんなキラキラした目で見つめて来るんだ……。
「ね、尚斗……。着てみてよ!!!!」
「は?」
どうせこの後、すぐ学校に向かうんでしょ!ならいいじゃん!と言いくるめられて、しぶしぶ着替えるハメになった。
着替えたは良いものの、みーくんがずっとベタ褒めしてくるので恥ずかしくなった俺は、みーくんを家の外に閉め出した。
なかなか酷いことしたなと思ったが、みーくんも
「俺の家にも制服届いてるかもしれないから帰るわ!」
と言って、丁度去ろうと思っていた旨を伝えられ、
「じゃあ、楽しい学園生活を!アデュー!」
とだけ言い残して去っていった。
なんて自由人。つか、ホモばっかの学校で楽しい生活なんて送れるかバカ。
ま、とりあえずこれからやる事は、学校転入証明書に書かれてある住所まで行けばいいんだよな。
でもやっぱり土地勘無いから、ケータイの地図とか載ってるサイトを参考に行こう。
ケータイ使えると良いんだけどな……。
そして1時間後。
サイトがちゃんと見れたおかげで、電車やらバスやらを乗り継いでなんとか着いた。
……けど、ここで合ってるんだよな?
とても心配になる。
何故なら、俺の目の前には鬱蒼とした森。
更にその森の入り口辺りに立つ黎陽学園へはこちら!というかなり古ぼけた看板。
「……行ってみなきゃ、分かんないか……」
あまり舗装されていない砂利道を通って森の奥へ進んでいく。
それから約30分。
一体、ここはどこだ。
俺は迷子になった。
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