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転入、そして油断②
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この調子だと学園に辿り着くのは夜が明けてからになってしまうのでは……という急激な不安感に教われた俺。
一本道ならまだしも、こんなに分かれ道があるなんて始めて来た人間には到底分からないだろ。
というか、始めてじゃなくてもこんなに複雑だったら覚えられねーわ。
「……せめて森の入り口から学園までの地図くらいは載せとけよ……。仮にも俺、転校生だぞ?」
とかなんとか1人でぼやきながら歩いていた。
それから数分、テキトーに進んでいるとまた分かれ道が現れた。もう何回目だよ……。
しかもなんか別れ道の本数多すぎ……。5本て……。
もうこのレベルになると笑いが込み上げてくる。
ま、悩んでいても仕方ないし、これまで通りテキトーに道を選ぼう……なんて正面の道に向かおうとした時……
「兄ちゃん!そっちの道やないでー!」
……と背後から声をかけられた。
なんかすごい元気の良い声だなー……とか思いながら振り返ると、そこには、茶髪で頭にタオルを巻いた、爽やかなお兄さんが居た。
おぉ、結構イケメン。それにお兄さんが着てる服って俺と同じ学校のやつだよな……?だとしたら、お兄さんまじ救世主。
「あ、教えてくれてありがとうございます!……もしかしてイケメンのお兄さんも黎陽学園の生徒だったりしますか?」
「ちょwwwイケメンてwwwwwww
おー、せやで。兄ちゃんも黎陽の生徒?」
ってな感じで話していたら、偶然道で出会ったお兄さんが学園までガイドしてくれる事になった。
そして、学園に着くまでの間も色々な話をした。
例えば、お兄さんの名前は『峯 大和(みね やまと)』
っていうとか。先輩だったとか。関西出身だとか。
道端に居たのは買い出しに行ってたからとか。
お兄さん、もとい峯先輩はとても気さくで話しやすく、とにかく凄い良い人だった。
「……で、いつ頃着く予定っすか……?」
「あと少しやで~!」
道中この会話を何度繰り返したことか……。
かれこれ1時間半位歩いてる気がするのにまだ着かないって事は、まじで相当山奥にあるんだと実感させられた。
……こんなに隔離された男子校なんて、もう完全にホモの巣窟じゃないですか。まじで怖いわ。監獄かよ。
「…………ここや!!」
ちょwwww先輩wwwww唐突すぎる大声とかビックリするんで止めて下さいwwww
俺は先輩の言葉に合わせて顔を上げた。
「………………は?」
すまん。ちょっと待ってくれ。頭の整理が追い付かないぞ……。俺が思わず呆気に取られるのも無理はない。
誰もが目前に広がる風景を見たら驚くだろう。
そこにあったのは、中世ヨーロッパを彷彿とさせる大層ご立派な門と 、その奥に見える…………
…………ヴェルサイユ宮殿?
とにかく色々と凄いのである。
「まぁ、そんなとこに突っ立っとらんで早よ中入りや!」
「は、はい……」
峯先輩は動じることもなく平然と、そのかなり高い門を開けた。
へぇ……こんな見掛けで手動なのか……。
それに大分重そうに見えるけど、なんで峯先輩は普通に開けられるんだ?
あまりにも気になって仕方がないので少し押してみると、案外軽めで驚いた俺はバランスを崩し、峯先輩の上に倒れて覆い被さってしまった。
「あっ、すいませ……」
「ちょ……重……荷物…………」
そういえば先輩、買い出しで大荷物だったんだ。
やべぇ、早く退いてあげないと先輩苦しそうだし、荷物がもっと散乱してしまう。
俺はすぐ先輩の上から退いて荷物を整頓してから持ち空いている方の手を先輩に差し出した。
「本当にすいません。怪我はありませんか?」
それと、荷物も落としてしまってすいませんでした。と心から謝る。
「大丈夫やでー……それにしても、キミ、男前やなぁ……」
「……?」
どこが男前なんだ?
俺の不注意で本当に申し訳ないことしたのに……。
それでも誉めてくれるなんて、あなたは神か。
俺は峯先輩のような人になりたいと思った。
「じゃ、取り敢えず学校行こか」
「そうっすね!」
せめてもの償いとして、俺が峯先輩の荷物を学校まで持たせてもらうことにした。
で、校門を抜けたのはいいが、またそこから学校までの距離が長い長い。
どんだけ歩かせれば気が済むんだよ、全く。
そんなこんなで歩いていると、道端にある茂みの方から何か音が聞こえた。
こんなセレブな学校ならどんな生物がいても不思議ではないと思い、好奇心からそっと覗き込むと…………
そこには金髪で端正な顔立ちのハーフらしき男子と、平凡な感じの男子が肩を寄せあっていた。
俺はびっくりしすぎて動けなくなった。
これがリアルなホモなのか、と。
でも、なんだかハーフっぽい方が綺麗すぎて、
うわ!ホモだ!キモッ!って感じじゃないな……。
なんというか、あまり嫌悪感がないホモっていうのか?…………ちょっとホモホモ言い過ぎてゲシュタルト崩壊起こしてきた。もう考えるのを止めよう。
そんな最悪のタイミングで峯先輩も覗き込んできた。これはマズイぞ。
「……尚斗?なにガン見してる…………ん!!???」
「ちょ、先輩、これ、たまたま見たら……違うんス!!!!誤解しないでくださ……先輩ッ!」
俺の必死の弁解は届いているのだろうか。先輩の表情は硬いままだ 。
「……ほな、もう行くで……!」
急に俺の手をとって引っ張って行く先輩。
この反応からすると、やっぱ俺と同じくあんまりソウイウコトに対して好意的ではないってことだよな。
引っ張られつつも、ふと麗しのハーフ男子の方を向くと、俺に気付いていたらしく人指し指を唇に当てたポーズ……つまり、内緒というポーズをした。
そのあまりの妖艶さに少しクラッときたのは秘密だ。
結構なスピードで先輩に引っ張られている俺。
「やっぱ先輩もああいうの駄目なんすね」
「……まぁ、ここは隔離された男子校やから分からんでもないけどな……。やっぱ無理や」
「俺もっすよ……なんでこんな所に編入なんて……」
「共学だったんやろ?だったら尚更辛いんとちゃう?」
「そっすね…………」
……それにしても、流石にもう学校に着かないとおかしいだろ……と辺りを見渡すと、気づけばさっきの景色とは一転。
あれ、ここどこだ……?
周りがまた鬱蒼とした木々で囲まれ始めた。
「先輩、道間違ってないっすか?」
「こっちで合ってんでー」
まぁ、俺は道を知らない身だ。なので、
あの山道を覚えられる峯先輩の事を信じようと思い、黙って付いて行くことにした。
あれか、きっと裏口的な所から入らなきゃいけないとかなんだよ!金持ちの学校ってそんなもんだろ?
また少し歩くと、
だんだんと俺の通う学校の全貌が明らかになってきた。
「ここや!」
「………………。」
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