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転入、そして油断③
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俺の期待を返してくれ。まじで。
やけに既視感のある建物が目の前に建っている。
「ちょっと先輩!どういう事っすか!!」
白い壁の4階建ての建物。
どこをどう見たって普通の学校だ。
じゃあさっきの学校は一体何だったんだと落胆していると、先輩は俺の言いたいことが分かったのか、
「あっちはVIP用やんな」
と笑いながら説明してくれた。
あぁ、よく考えるとさっきのハーフ男子とは制服が違ったな。
こっちは紺のブレザーだけど、向こうは白だったな。しかもやたら高級感溢れる生地だった。流石VIP。
続けて先輩が口を開く。
「ここ、同じ敷地内に学校が2つある変な所なんよ。元々はこっちの高校だけやったんやけど、ちょっと前にあっちの聖リカルド?学園ってのが建って……。そうなったらもう完全にあっちのモンやん?こっちの学校入るんにもわざわざさっきの道通らなあかんし、ホント面倒なもんやわ」
「そうなんすね……。」
なんか思ったより学校同士が互いに対立してそうだな。まぁ、俺はあんま関わんなそうだし関係ないか!
とにかく早く学校内へ行かなければと足を進めたとき、校内から誰か出てきたのが見えた。
「おー、峯か!買い出しお疲れー」
「おう!もーめっちゃ疲れたわー……今日けっこー暑いやんか……」
この人は峯先輩の友人か?取り敢えず挨拶はしておいた方がいいよな……と、思い俺が軽く会釈をすると、少しニヤニヤしながらも挨拶を返してくれた。
…………なんで笑ってるんだ?
「なぁ、峯……」
「ん?」
「さっき暑いって言ってただろ?
それってお前らがアツアツなだけじゃないのか?
…………仲良く手なんて繋いじゃってさ。」
俺と峯先輩の視線が合う。
お互いその視線が手に移る。
「「…………!!???」」
「ははは、気づいてなかったのか?それより、峯。
お前とうとう目覚めちゃっt……」
「ちっ、ちゃうわ!アホ!!!」
咄嗟に手を離す先輩。
あれか、ハーフ男子の元を立ち去る時から今までずっと繋いでいたのか……。あまりにナチュラルすぎて全然気が付かなかったぞ。
「じゃあ何だ、荷物持たされてパシりか?」
「いや、コレには色々あって……」
と言うと、先輩の友人は更に笑みを深くした。
「ほーん…………」
「なんや!その目は!!」
「ま、仲が良いのはいいことだ」
と言って先輩の肩を軽くどつく友人さん。
なんだ?何が言いたいんだ?
「ちょ!完全に誤解してるやろ!!!
……後でじっくり説明してやるから、待っとれよ?」
「うわー!長い説教フラグだー!!逃げろー!!」
先輩の友人さんが校舎の中へ逃げ去って行った。
その様子を暫く2人で見て笑っていた。
「…………そんじゃあ、俺ももう行かな。ここまでありがとう!荷物もありがとうな。それと、学年違うからなかなか会えんとは思うけど、また会えた時はよろしく頼むで!」
「こちらこそ!」
俺は、手に持っていた荷物を渡して先輩とお別れをした。
……本当いい先輩だったな。また会えるのを楽しみにしていよう。とイイ気分で校内へ向かった。
向かった先は職員室。
これ完全に遅刻だし、絶対怒られるだろうと覚悟してドアを開けた。
「あー、君が転入生の五十嵐くん?」
「うおっ!!???」
扉を開けたらどアップで人の顔が。
くっそびびった 。びびってコケた。なんか今日恥ずかしいことしてばかりだな……。気を付けよう。
「あー、僕、君の入るクラスの担任、平原ね。よろしく」
優しく微笑みかけて手を差し伸べてくる担任。
いや、近い近い!!!
俺は少し後ずさってその手を取った。
「あの……俺、遅刻……」
「あー、まぁ次からは気を付けてね」
「えっ……それだけっすか?」
「うん、それだけだよ。じゃ、もう時間も無いし教室行こっか」
「は、はい……」
おいおい、こんなにルーズでいいのか、担任よ。
担任は見たところ4,50代くらいで小太りな上に天パ眼鏡っていういかにもな格好をしているが、なにより優しい先生で良かったと心底思った。
先行く先生の後を追い、俺も教室へ向かった。
「あー、ちょっと今からみんな招集するからここで待ってて。」
俺を階段付近に留めておき、それだけ言った担任はどこかへ去っていった。
一人になったことで気付いたが、周りが割りと騒がしい。もしかしたら今は昼休みなのか?と考えると折角の休み時間に申し訳ないと謝りたくなった。
それから5分も経たないうちに名前を呼ばれ、教室の前まで強制連行された。
「あー、じゃあ五十嵐くん、入ってー」
その声と共におずおずと教室内へ足を踏み入れる。
「ようこそ!2年B組へ!!!!」
周りから一斉に歓迎の言葉を贈られた。
お、おぉ……!!なんか凄い感動したぞ。もしかして時間かかったのってこの為か?
……でもこう、皆に歓迎されるって嬉しいよな 。
男ばっかだけど。
「あー、じゃあ軽く自己紹介してねー」
って、いきなりっすか!!俺こういうの苦手だから結構キツいんだけど……。でもやるしかないよな。パッと終わらせよう。
「……はい、えっと。今日この学校に転校してた五十嵐尚斗です。えーっと、趣味は音楽鑑賞。よろしく」
こんなもんでどうだ!!…………ん?
俺がやっとの思いで挨拶したのに静まり返っている教室。おい、さっきまでのノリはどうした!!
と、思わず困惑していると、担任が口を開いた。
「じゃあ、いつものアレ、やりますか…………
…………転入生への質問タイム開始ッ!!!」
「……は?」
担任が突然言い出した言葉に呆気に取られる。
え?何そのコーナー?もう何もかもが唐突すぎんだろ ! と思っている合間に、凄い勢いで質問攻めをし始めるクラスメイト達。
好きな色は?だの好きなタイプは?だのそんなん訊いてどうすんだよ。
「はいはい、そんなに一気に聞いたら五十嵐くんが可哀想だよ。だから指名制にしよう」
その言葉を聞いた途端静かになった一同。
そして、またもや一斉に手を挙げ始める。
「はい、五十嵐くん指名して」
えっ、指名って、マジでやんのか……。
とりあえず誰か指せばいいんだな?
「あー、じゃあ…………
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