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転入、そして油断④
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……そこの黄色いカチューシャ?つけた人で!」
一番分かりやすい特徴の奴を指してみたんだがどうだろう。前の人に隠れて顔が全く見えないから気になったってのもあるんだけど。
「わっ!オレ?やった!」
立ち上がって人影から顔を出した彼。
人懐っこい笑顔で素敵だなというのが俺の率直な感想だった。何て言うか可愛い系の顔つきだな。
彼は二次元らしいアホ毛を揺らしながら質問した。
「さっき音楽聴くのが好きって言ってたじゃん?だったら、好きなアーティストは?」
おぉ!そこツッコんでくんのか!音楽に興味があるんじゃないかとちょっと期待する。
「あー、知ってるか分かんないけど……ロックバンドのARKとか……?」
「えっ!オレもARK好きなんだけど!」
思いもよらぬ答えが返ってきた。まさか知ってる奴がいたなんて……!とちょっと嬉しくなった俺は
「まじか!!じゃ、後で語ろうな!」
なんて勢いよく返事をした。
…………が、この時の俺はその矛盾点に気づいていなかったのである。
10分後、俺はやっと質問攻めの嵐から抜け出す事が出来た。こんなんでここまで疲れるなんて、これからちゃんとやっていけるのか心配になった。
「あー、じゃあ五十嵐は一番後ろの空いてる席に座ってね。あー、2つ空いてるけど窓際の方ね。」
俺は担任の指示に従い、言われた席に着く。
この席、日がよく当たって気持ちいいな。疲れてるからすぐ寝れそう。
「あー、それじゃあ次の授業までまた昼休みねー」
その言葉を聞いて一斉に散るクラスメイト達。
その様子を横目にうとうとし始める俺。
あー、これマジで寝るパターンだわ。
……おやすみ。
「おっはよー!!!!!」
「……!!????」
すごい元気のいい声で起こされる俺。
ねぇ!!いま寝ようとしてたんだけど!!!!空気読んで!!!!
……と思ったら、
「……あぁ、さっきの子か!」
「えっへへー!早速話しに来ちゃったんだぜ♪」
起こしてごめんね?と笑いかける。
俺は気にしてないと返事をしつつ、思う。
こ、こいつ……!!!!まじで可愛い!!
……可愛いっつっても犬に向かって言ってるイメージだからな!勘違いはしないで欲しい。
「……ところでさっきの質問攻め大変だったでしょー?オレたちも学年上がっていきなりアレやらされたんだ……(´;ω;`)」
「そうだったのか……。お互いお疲れ様だな…………」
これで、担任は優しい顔してなかなか鬼畜な先生だって事に気付きました。奴は鬼畜眼鏡です。
「あっ!それでARKの件だけd「晴輝ー、世界史のプリント見せてー」
「お前!今お話し中だったのに!」
アホ毛を揺らしながら怒るはるきくん。
あー、この子はるきっていうのかー。なんて思って声のした方へ顔を向けると……。
おい、なんだこのイケメンは。
何て言うかこう、凄い女受けしそうな顔だな。
んでメガネ。もう見たくないメガネ。こいつ絶対伊達じゃね?オシャレ眼鏡じゃね?
……とにかくこの学校で俺が知り合う人は皆、容姿の整った奴しかいないのか!と嘆きたくなった。
「おーい、五十嵐くん?」
おっと、話の途中だったな。
「あぁ、ごめん。それと俺のことは尚斗でいいいよ。」
「おっけー!じゃあ尚斗ね!」
うわっ、なんだその輝かしい笑顔。まじ犬。
そんな俺らの間に入り込む様に
「ねぇ、晴輝。プリント」
と、メガネくんが言う。
「ごめんごめん。これプリント!」
そう言ってプリントを手渡すはるき……って、まだ自己紹介されてなかったか。
「そういえば名前は?そっちのメガネ君も」
「あっ!すっかり忘れてた!
オレ、根津 晴輝(ネヅ ハルキ)!晴輝でいいよ!」
「晴輝な。よろしく。で、君は?」
「え、俺も自己紹介するの?男に?」
「お前wwwそれはヒドくね?wwwwww」
心底嫌そうな顔されたんだけど。この俺でも流石にちょっとショックなんだけど。
「仕方ない、俺が説明してやろう。こいつは俺といつもツルんでる喜島 正彦(キジマ マサヒコ)な!
めっちゃ女好きのヤリチンですwwwww」
「なにその説明酷い」
「事実じゃん。」
あーなるほど。だからそんな嫌そうな…………ってなんでそんな奴が男子校にいるんだ?
それより、コイツ……ヤリチンだってことは……
「こんな所で女の子に会えるのか?どうやって出会えるんだ!??」
「今時いろんなサイトとかアプリあんじゃん」
ガラケーの俺に死角は無かった()
続けて晴輝が言う。
「コイツ凄いんだぜ。わざわざ女の子に会う為だけに毎日のようにこの山登り降りしてるんだぜ?」
「……逆に尊敬するな」
「ありがとう」
「いや、褒めてはないぞ」
「……あっ!そうだ!次体育じゃん!着替えないと!」
「そうだったね」
「え……体育…………着替え…………?」
ヤバイ。これはまじでヤバイ。
気づきたくない事に気づいてしまった。
「えっ……尚斗……?やたら荷物少ないなーとは思ってたけど……まさか…………?」
「今気づいた。ホント今。俺のバッグの中身、携帯とSuicaと転入証明書と水しか持ってきてねぇ。まじで。」
「馬鹿なの?(それって大丈夫なの?)」
「ちょっと本音と建前が逆になってるかな喜島くん」
「そういえば尚斗も寮だよね?まさかそっちの荷物ぐらいは……」
「………………察しろ。」
「うん、期待したオレが馬鹿だったんだぜ」
「寮の道具は買い揃えるまで同室者に借りればいいんじゃない?」
「…………!!!!それだ!でかしたぞ!喜島くん!!!!」
「呼び捨てでいいよ」
「でかしたぞ!喜島!!」
そう言って髪の毛がぐちゃぐちゃになるくらい喜島の頭を撫でてやった。
てっきり嫌がられるかと思っていたが、何故か喜島は抵抗しなかった。
「……とりあえず体育は見学するか。」
「俺もサボりだし」
「なんだよお前らー!もう早く校庭行こうぜ!」
……校庭についた。
晴輝は元気にクラスメイトとサッカーしてる。
で、俺と喜島は校庭脇の芝生に座っている。
思わぬ沈黙。
……なんか話すことねーかな。晴輝とはARK話出来るからいいんだけど、喜島の好きなものとかも知らねーしな………………あぁ、女か。
つかずっと携帯弄ってるし。話す気ねぇなコイツ。
「喜島。そういえばさ、俺の隣の席ってなんで空いてるんだ?」
「んー、その席の子は不良なんだよ。結構喧嘩とかで停学くらってるらしいし。だからあんまり学校とか来ないっていうか、そもそも学校で見たことないなー」
なんだ、普通に答えてはくれるのか。
喜島……わからん奴だ。
「へぇ……そんな人が同じクラスに……。名前はなんt」
「あっ、ごめん。女の子から電話来ちゃった。ちょっと出てくるね」
なんだそれ俺に対するイヤミか!でも遊び人なのは本当だと確証を得られた。
うーん、一人になってしまった。
そういえばこの学校全寮制だって事すっかり忘れてたな。まじで荷物とかどうしよう。
今度峯先輩あたり一緒に買いに行ってくれないかな。
それでさっき、ちゃっかりそれだ!とか言ってたけど、同室者から借りればってことは、当たり前だけど同室者がいるって事だよな…………?
俺の同室者は一体どんな奴だろう?晴輝達は誰と同室なんだ?
「ただいまー」
「おう、帰ってきやがったなリア充め」
「なにそれ妬み?」
「ハハッ……。あ、あのさ、喜島と晴輝の同室者って誰なんだ?」
「俺と晴輝が一緒だよ」
「……は?おい!お前、俺もそこに混ぜろ!!」
「いや、無理でしょ。……さて、五十嵐の同室者は誰になるかなー……」
なんでそんな意味深な笑い方してるんだ。なんかありそうで怖いんだけど。
「あっ、チャイム鳴ったね。早く帰ろう」
チャイム鳴ってたのか。
でもまじで早く行かないと昇降口混むよな。
そんな時、校庭から元気に走ってくる晴輝の姿が見えた。やっぱあの揺れてるアホ毛……気になる。
「たっだいまー!!…ね、オレの勇姿見れくれた?ねぇ!」
「「あ、ごめん、見てなかった」」
「えー!なんだよお前らー!俺めっちゃいいシュート決め……って、あ!待って!!置いてかないでーーー!!!!」
なんだかんだで友人も出来たっぽいし、これからの生活、少しは楽しめそうだ。
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