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不良がもたらす波乱について
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なんだかんだで学校も終わり、晴輝&喜島と別れた後、担任に呼び出されたので職員室なう。
「あー、お疲れのところ悪いねー。寮の手続きについてなんだ。いきなりだけど、五十嵐くんの部屋番号は208で、これが鍵ね。それと同室者もいるからちゃんと挨拶しておいてね」
「はいっす」
あと、この紙に名前とか記入して明日提出してねー。と言われたので、鍵と用紙を受け取って寮へ向かった。
寮は学校から見える位置にあったので、前みたいに迷うことなく無事にたどり着いた。ひと安心。
一応、寮の管理人の所に顔を出してから部屋へ足を進める。
「ここが俺の部屋か」
管理人いわく、どうやら部屋にはトイレ、バス、キッチンが揃っているらしい。なかなかの良物件だな、なんて考えながら部屋の表札に視線を送る。
えーと、同室者の名前は…………。
「夏海 青生(ナツウミ アオイ)…………?」
おいちょっと待て。
青生って完全に女の子の名前だよな?
まっ、まさか!俺が転校生で空いてる部屋がないからって女の先生と同じ部屋だったり……!
…………なんて、さっきここまで来る途中に職員寮あったしなー。でも、もしかしたら管理人の姪っ子とかそういうパターンも無きにしもあらずか?
とにかく期待しておかないとやってられんからな。
待ってろよ、青生ちゃん!
さっき受け取った鍵で扉を開く。
もしかしたらまだ帰ってきてないかもな。
「こんにちはー?」
……何も返ってこない。
ということは本当に留守ってことか。
ま、居なくても入っていいんだよな?一応俺の部屋でもあるわけなんだし。
中に入ってみれば性別が判明するかと思った。が、…………なんということでしょう。
全体的にモノトーンでまとめてあり、掃除も行き届いている。部屋にはバイクグッズとか置いてあったりしていて、一瞬男かと思ったが風呂を見たら女物のシャンプーが置いてあった。……今時バイク好きの女の子ってのも少なくないし、本当にどっちだか判別できなかった。流石にクローゼットまで漁るのは止めておいた。
しっかし、青生ちゃんが帰ってくるまで荷物も無いわけだし暇だ。仕方ない、テレビくらいは共同だろうし勝手に借りても良いだろう。
なんか面白い番組あるといいんだけどなー……。と、俺はリモコンを手に取り、テレビの電源をつけた。
外はすっかり真っ暗になっていて、山奥だからか梟の声が聞こえくる。
「……ん、あっ!やっべ!また寝落ちたのか!!!!」
どうやらテレビの音が心地よくなり、眠ってしまったらしい。時計を見るともう12時過ぎ。今日は疲れてるからか随分と眠くなる気がする。
それにしても、まだ青生ちゃんは帰ってこないのか。
早く挨拶しなきゃなんねーんだけどな。……とにかく可愛い娘だったらいいなー。とか色々考えていたら、
玄関の方からガチャリ、と鍵の開く音がした。
「おかえりー!!!青生ちゃん!俺、今日から同室の……っ!!???」
俺がそう声をかけて玄関に顔を出すと、そこに立っていたのは、
「えっ……男!!???」
ちょ、これどういうことだ?青生″ちゃん″だよな?
誰コイツ?まさかこの人が青生ちゃん?
目の前に立っている男は、なんか髪をシルバーに染めていてワックスで後ろ髪を軽く立たせているいかにも不良という風貌の人だった。耳だけだけどピアスとかめっちゃ開けてるし……でも前髪は長いからか余り顔は確認できない。
…………って、冷静に分析している場合じゃなかった!
「もしかしてお前が青生ちゃんか?」
と問いかけると、俺の中の可憐なイメージとはかけ離れた鋭い眼光で睨み付けられた。
「チッ」
……コイツ今睨むだけじゃなくて、舌打ちまでしやがったな?返事もしねーし、ナメてやがんな。
「おい、なんだその態度は」
「……うるせ」
俺が肩を掴もうとすると、即座に避けてさっさと部屋へ向かおうとする。
そんな奴を制止しようと更に声をかけようとした。
その時、
「おい!お前、ちょっと待t」
ぐうぅぅぅうううううう~~~。
突如響き渡るような大きな音。静かな玄関に広がっているこの音源は俺の腹。
「ちょ、ちょっとタンマ!俺昨日から何にも食ってなかったんだ。……今のは忘れてくれ。」
青生ちゃんは足を止め、振り返ってこちらを見る。
止めろ!見るな!これ以上俺を羞恥の世界に誘わないでくれ!
……と、次に降りかかるであろう罵倒に身構える。
「ふっ……ははっ」
控えめながらも完全に笑っている青生ちゃん。
さっきまであんな態度だった奴が笑うなんて、本当は 良い奴なのか?
なんて考えている内にも鳴り続けている腹の音。
くっそ。こうなったのも全部みーくんのせいだ ……。せめてなんか食っておけば良かったと心底後悔する。
そんな腹を押さえている俺に見かねたのか近づいてくる青生ちゃん。おい何するつもりだ……。
「……とりあえず部屋入れ」
それだけ言うと俺の腕を掴んで部屋の中に引っ張っていく。そして、さっきまで居たテレビのある居間の机前に座らせられる俺。
「そこで待ってろ」
俺を残してその場を去る青生ちゃん。
あの先は……台所か!!!!これはもしかしたら、もしかするかもしれん。期待せずにはいられない!と言われた通りにその場で待っていった。
少し経って、すごく良い香りが部屋に充満してきた。
この香りは……しょうが焼きみたいな…………?
「ほらよ」
青生ちゃんが運んできた料理は、案の定しょうが焼きだった。更に、それだけでなく白米まで付けてくれた。
こう1日ずっと何も食べていないと、こんなにも美味しそうに見えるのか……!!と改めて思った。
そもそも青生ちゃんが料理上手だってのもあるだろうけど。
俺はお礼をしようと青生ちゃんの方を向く。
……なんで律儀にエプロンなんて付けてるんだwwwwギャップが面白いなwwww
それに料理をする為か、長かった前髪を上げているので顔がよく見えた。
…………おい、コイツもイケメンじゃねえかよ。
こんなイケメンのくせして何で顔隠してんだ?
聞きたいことは多々あるが、その前に料理が冷めないうちに食わないと。
「これ、本当に食っていいのか?」
「……残り物で悪ィけどな」
「そうか。じゃあ遠慮なくいただきます。で、青生ちゃんのご飯は?」
「俺は食ってきたから大丈夫だ。
……それより、お前、その青生″ちゃん″って何だ?」
……そういえば俺さっきからずっと青生ちゃん呼びしてたのか。
なんつーか、最初から名前の先入観で女の子だと思ってそのままだったから、俺の中ですっかり馴染んでたんだな。
でもやっぱ男に″ちゃん″付けって失礼だよな。
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