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キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響く。
「はー!やっと昼休みだー!!喜島!尚斗!夏海!皆で食べようぜっ!!!」
晴輝がパンを片手に俺達の所へ駆け寄ってきた。
そうか、俺と青生ちゃんの席は隣同士だからここで食えば丁度いいよな。
「おう、俺達の机使えよ。……で、晴輝の持ってるパンって購買か?」
「そう!良かったら今度一緒に買いに行こう!ここのビーフシチューパンってやつが凄い美味しいんだ!」
今持ってるやつは生憎違うパンだけどね、なんて笑う。……いいな、美味そうだな……。
でもよく考えれば何も持ってきて無いんだよな、俺。
つか買う金もねーし。まじでどうしよう。
「もしかして五十嵐、財布すら持ってきてないから食べるもの無いとか……?」
いつの間にか後ろに座っていた喜島が言う。
さすがは喜島、俺の心中を見事に読んでいる。
「よく分かったな……。もう腹へって死にそうだ……」
でも喜島は昼飯なんてコーヒー1本で十分な人間らしいので、俺の心境は理解してくれない。
もうこの前1日ずっと食わなかった時は、よく我慢できたなと自分で感心した。
「…………おい」
「……ん?何、青生ちゃん?」
急に話しかけられたので少し驚いた。
でもどうしたんだ急に青生ちゃんから話しかけてくるなんて……。それにカバンをあさって…………
…………って!!!!!それは!!!!!
「お前の弁当、作ってきた」
そう言って机の上に置かれた綺麗に包んである2つの弁当。1つは青生ちゃんので、もう1つは俺の、か。
「青生ちゃん…………。もう大好き。まじ俺の救世主」
「…………。」
照れてるのかあまり反応がない。
「朝夜だけじゃなく昼飯まで作ってくれて、本当に助かるよ。ありがとう。今度ちゃんと何かお礼するな」
本当に今はただ感謝の意を表す事しかできなくて申し訳なく思う。
そんな俺らのやり取りを見ていたらしいクラスメイト達が『愛妻弁当か!!!!』なんて騒いでいる。
愛妻弁当とかwwww例えwwww
「ち、ちげーよ!!」
ってまた青生ちゃんもキレて照れてるしwwww
そんな彼らを余所に俺は弁当箱に手をかける。
「……開けていいか?」
あんま出来はよくねェけどな、なんて青生ちゃんは言うけど、その腕前を知っている俺は、わくわくしながらふたを開けた。
「おぉ!やっぱ作るの上手だな!いただきます!」
「えー!!!なにコレずるい!オレのと交換して!!!」
「へー、夏海にこんな才能があったんだ。凄く美味しそう」
開けた瞬間、皆口々に褒めたので、青生ちゃんも心なしか嬉しげだ。
「…………今度から、お前らの分も作ってきて、やらねェことも……ない」
なんて口走っちゃうくらいだから嬉しいに違いないな。それに皆でこの美味さを共有したいしな!楽しみにしていよう。
晴輝と喜島も青生ちゃんの言葉に喜んで了承した。
「あー、お取り込み中に悪いね。」
「うわっ!!???」
横を向いたらすぐ側にある担任の顔。本当にいつも気づいたらいるんだよな……。それにまた近いし!
「あー、色々あったから忘れてるかなと思ってね。今日中にちゃんと寮の手続きとかしておいてねってことを、五十嵐くんに伝えようとね……」
「あっ!すっかり忘れてた!!!すいません、後でちゃんと出します!」
咄嗟にカバンの中を探すと、少し折れてはいたがちゃんと紙があって安心した。
そんな俺の様子を見届けて去っていった担任。
うーん……でも書くって言っても時間が……
今しかないのか?でもせっかく作ってくれた弁当も食べたいし……。あ、そうだ!
「青生ちゃん、俺今、手が離せないんだ」
「……で?」
手が空いてないなら食わせてもらえばいいじゃん、なんて考えが頭をよぎった。俺もよくみーくんにやってあげてたし、別に今回くらいはいいだろ。
「あーん」
「……?……あぁ、そういう事か。……ほらよ」
青生ちゃんは俺の意図を察して、お弁当の唐揚げを口に運んでくれた。
「んー!うまっ!」
少し冷めてしまってはいたけど、凄く美味い。多分コレ冷食じゃないだろ。ちゃんと揚げてある味がする。
「美味いなら、良かった」
青生ちゃんが笑う。
やっぱ青生ちゃんは笑ってた方が絶対いいよな。
「ねー、オレらの事完全に忘れてない?もう!2人だけの世界作んないでよー!!!」
「てか、ナチュラルにあーんとかしてるけど、君たち……」
「ん?何かおかしいか?」
なんだよその目は。俺、皆と違って察する能力鈍くて悪いな。
「もー!2人だけ仲良くなっててズルい!オレも混ぜろー!!!!」
なんて晴輝が俺と青生ちゃんの間に割り込む。青生ちゃんは落ちそうになった弁当を死守してる。それを喜島が笑って見てる。
…………こんな関係もいいよな。
いつの間にか青生ちゃんも上手く馴染めてるみたいだし、本当に良かった。
そんな事を考えていた時、俺らの間にいた晴輝が何やらクンクンと匂いを嗅いでいた。お前は犬かwwww
「…………なんか2人からおんなじ匂いがする……」
まぁ、そりゃうつるだろうな。
「風呂借してもらった上に一緒に寝たからな」
「おい、五十嵐……その言い方は……」
「「「……!!????」」」
クラスメイトが一斉にこちらを向く。おい、俺なんか変なこと言ったかよ?
さっきの俺のヒトコトが、後に学校中で噂になるだなんてこのときはまだ知りもしなかったのである。
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