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難関を越えよ ②
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机の上に開かれた色とりどりの教科書とノート。
しかし、いずれも書き込まれている様子はなかった。
「俺達がいかに勉強してないかを物語ってるよな、このキレイさ。」
手に取って見ても、カラーペンひとつ引かれていない。……これは本当にマズイな。
「……なんかこのノートだけ汚くない?」
そんな中から喜島が何かを見つけたらしい。……それは一冊のノート。中を開くとそこには落書き、というには上手すぎる絵が描かれていた。
「……!!!!!うわっ!何かと思えばそれ、オレのノートじゃん!!見ないで!!!!!!」
見られるのが恥ずかしいのか、急いでノートを引ったくって隠した晴輝。
下手くそだからさー。とか言ってるけど、お世辞抜きで上手だったぞ。美術部が描いてるような絵だった。
また見たいと思い、喜島と協力して晴輝に迫っているとそこに…………
「…………おい、お前ら。ちゃんと用意してたんだよな
?」
飲み物を持ってきた青生ちゃんが俺たちを前にして立ち止まる。やばい。この状態は完全に遊んでいたように見える。
「お前ら全員正座しろ」
あおいちゃんが きちく とかした ▼
「よし、じゃあ一人ずつ苦手教科言ってみろ」
俺たち三人は今、正座させられている。なんだこの状況。足しびれてきたんだけど。
「んー、オレの苦手な教科かー……。
オレは物理と公民。あと数学と古典とか!」
晴輝が一番先に口を開いた。
ってお前それほとんどじゃねーか!
「俺が特にダメなのは世界史かな」
喜島も続いて言う。
いや、お前は他の教科も怪しいだろ今回。
「……俺は一番数学ができないな」
他はほぼ出来るし、文系は得意なほうだ。
ただ、数学の応用問題だけは苦手なんだよな。
「なるほど。大体わかった。
……じゃあまずは五十嵐。数学には解き方のコツがあるから、それを後で教える。それまで公式覚えとけ」
「了解っす!」
「次に喜島。お前はやれば出来そうだから、とりあえず真面目に暗記しろ。世界史については、全部女がやった事だと考えれば覚えられるだろ。」
「確かに。なんだかいけそう。」
「最後に根津。お前は俺とマンツーマンでみっちり勉強するぞ。」
「えー、そんなー!!!!」
「あ゛?」
「…………いえ、何でもない……です」
それから俺たちは一生懸命勉強した。
青生先生の教えかたは上手で分かりやすいし、結構楽しい。
……ただ晴輝が少し可哀想な気もするが。それは自業自得か。
そして3日後。テストが全て返却されたので、また皆で部屋に集まった。まだお互い点数は明かしていない。
よし、ここは俺から切り出そう。
「じゃあ俺から点数言うな。
……なんと、数学が92点でした!全教科平均80点代!やったぜ!」
続いて喜島。
「俺は、ほとんど教科平均こえたよ。赤点ギリギリでもないし。夏海、ありがとう。」
そして問題の晴輝。
「じゃ、次はオレ!!!聞いて!オレ、今回……
赤点ありませんでしたー!!!!!!しかも全部50点は超えてるの!凄くない?赤点より20点も上だよ!!!!!」
その言葉を聞いて、
偉い!と青生ちゃんが晴輝の頭を撫でる。
なんか兄弟みたいだな。……同い年だけど。
みんなでおめでとうの言葉を送って祝った。
「……ところで青生ちゃんは?」
皆に教えられるくらい頭いいんだから、当然その結果は気にならざるを得ないだろう。
皆で青生ちゃんの発言に注目する。
「俺?俺はお前らに教えまくってたからか、オール100点になっちまったんだよ」
「「「……す、すごい!!」」」
青生ちゃんの結果を聞いた俺らは、暫く呆然と
その回答とも呼べる用紙を眺めて続けていた。
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