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100選
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松永が休日も急な出張でいない時は昔の写真をよく見る。
松永と同じ大学だったお富さんが写真部だった。
俺たちの写真をお富さんが撮ってくれたものばかりだ。
デジカメ写真とか写メとかPCで取り込んでずっと色あせずに保存も出来るけどお富さんのカメラで撮影された写真が好きだ。
陽に焼けて変色しないようにフイルムで密閉してアルバムに保管しているんやけど大切にせないかんなぁと思う。
デジカメと違って色あせて行くけんね。
だから大切にしようって思える。
たまーにモリクミのコスプレ姿が端に見切れてたりするんやけどね。
この頃は吉野細いなぁとか鎌やんロン毛やなぁとか。
モリクミは今の方が太ましいなとか。
俺は今みたいに筋トレそこまでしてなかったから細いなとか。
松永はまだ撮影されるのに慣れてなくてぎこちない表情してるなとか。
モリクミたちが卒業して松永が留学から戻って来て一人で部長をしていた時の写真があった。
ブレブレの写真だ。
お富さんは海外に留学してしまってこの写真を撮影していたのは俺だ。
松永だけの園芸部。
6畳位の部室に一人で座って何かを読んでいる松永。
畑で麦わら帽被って首にタオル巻いてクワで土を掘り返したり軍手して雑草を引っこ抜く松永。
カマキリの卵見つけて指さして笑う松永。
部室にゴキブリが出て倒れそうな松永。
文化祭に一人で出店している園芸部の松永。
その文化祭何日間か誰かしら手伝いに来ていた。
俺やモリクミや鎌やんや吉野や俺と同じで他大学の戸田や奈々子。
大阪にいる児玉すら遊びに来た。
モリクミに呼び出しをくらったと嘆いていたが。
コミュ障かお前は!?って位初対面の人間にはオドオドする松永が頑張って笑顔出してラーメンを作っていたのが涙ぐましい。
成長している。
俺もモリクミも、
「ああーん!!松永君があんな引きつった笑顔で頑張ってるー!!」
「むっちゃ松永無理してる」
「ああーん、松永君がおもむろに閉店の札出した―ん!?まだお昼なのにー!?」
「我慢出来なくなったか。松永逃げたな」
と無理してラーメン売りさばくのが泣けた。
ラーメン100円設定の伝統みたいなのが園芸部にはあるのかその時も100円で売っていて客が大勢来て対応と笑顔出すのが限界だったんだろう。
麺湯がいて野菜乗せてトッピングしてチャーシュー切ってで大変やもんな。
俺たち手伝いに来たはいいけど酔っぱらっててすまんね。
酒も売っていたのと持ち込みしてしこたま飲んでいたのだ。
お前はよく頑張った。
明日のジョーみたいに白く燃え尽きてイスに座ってお茶をすすっている割烹着姿の松永に隣近所で出店していたサークルの人間から
「園芸部さん!?だ・大丈夫!?」
「なんか悲壮感が漂ってるけど!?」
と心配される程松永が頑張っていた。
「もう人来ないで」
「園芸部さんが鬱ってるんだけど......」
客が来るのを嫌がるラーメン屋でどうする。
閉店です!の札を出している間、松永と俺は休憩も兼ねて文化祭見学で二人で校内を歩いた。
「もう今年で園芸部も終わり。これで最後の文化祭」
「そっか」
「うん。後で写真撮ってくれる?明るい内に。想い出になるから」
「分かった」
明るい内に俺をのかした全員と、そして隣で出店していたサークルの人間に撮影させた俺も含めた写真。
なんかその写真見ると頬が緩む。
モリクミが吉野に昇竜拳みたいなアッパー食らわしているのも吉野がアゴに当たって宙に浮きそうな感じになっているのも児玉が巻き添え食らって吉野の陰で倒れ込んでいるのも戸田が驚いているのも奈々子が慌てて止めようとしているのも。鎌やんが我関せずでラーメン食べているのもあいつららしい。
この頃はまだ戸田も奈々子も二人のいざこざを止めようとしてたなあ。
今は戸田も奈々子も慣れて二人の肉弾戦を放置してるな。
松永はそんなモリクミたちを見てギョッとした顔してる、そんな松永を見て隣に立つ俺が松永の顔に微笑んでいる。
アルバムを閉じる。
そろそろ松永が帰るって言ってた時間やな。
掃除しとかんとまた「はぁー....」って言われるしなあ。
掃除しとこう。
この前は台所の洗い物忘れててひどいことになってたしなぁ。
台の上に置きっぱのコーヒー入れたコップなんか膜(マク)が張ってて腐った臭い放ってたなぁ。松永にばれないように捨てたけどこれ書いたらばれるわな。
コップ一つ捨てたぞすまんご。
松永がおらんと俺生きていけないんじゃね?ってよー思う。
「ただいまー」
「お帰りぃ!!俺掃除しよるよ!!」
「えらいえらい......って当たり前。もう夏なんだから腐りやすいから気をつけてよ!?」
「おーけーおけー!!分かってる分かってるー!!」
分かってなかった。
今回も俺コップ一つばれないように捨てました。
炊飯器捨てたこともあったな。
炊飯器開けたら緑で.....おぅえええええ。
松永があの時はブチ切れまくりだったな。
だってさー。
松永いない時俺カップラーメンしか作れんのよ。
お湯作る位しか出来ない。
「冷蔵庫にカレー入れた鍋あるから僕がいない間あっためて食べて」
って言われてもそれ火にかけて混ぜないといけないって分からなくて真っ黒に焦がした男なんだぞ?
カレーって混ぜないかんのか!?
その鍋も使い物にならなくなって捨てたんだがなー!!
松永に「ええ加減にしーよ.....」って帰って来て怒られたのはもちろんだった。
鍋はさすがに証拠隠滅は出来なかった。大物過ぎた。
こんなことばかりだから松永は出張の帰りにはまず荷物を置いて部屋のチェックから始める。
また俺が何かやらかしてないか洗濯忘れてないか、腐らせてないか何か隠してないかってね。
「長野言わなきゃいけないことは前もって言いーよ?」
「なんもないし!!なんも悪いことしてねーし」
コップはまだばれてなかったな。
「毎回戻るたびにヒヤヒヤする。ガスの火ぃ消し忘れとか戸締り忘れとかほんと気をつけてね」
「それ位俺でも出来る」
「どうだか.....」
松永が帰って来てまともな飯にありつけられるようになる。
カレーの鍋以来火を使わない料理とかレンジでチンする料理を冷蔵庫に入れてくれるが二日分の食糧を俺が一日で食べきってしまったりするのでまたひもじい思いをしたりする。
なんかレンジでチンして一人でテレビ見ながら食事とか味気ない。
「松永ぁああああああ!!」
やばい。
コップの棚のところで立ち止まって「うーん?」って頭をひねってやがる!?
気付いてしまうぅうううう!!
「裸エプロンしてくれぇえええええ!!」
「は?」
土下座して松永に頼み込む。
コップのことがばれたくないのもあったがまだ裸エプロンを松永に俺してもらってない。
俺の夢野望100選の中の一つの「裸エプロン」をまだしてもらっていない。
どさくさにまぎれてこのタイミングで頼み込んでみた。
「バカか......」
「バカでいい!!だがなー!!男のロマンには裸エプロンっつーのがあんだよ!!」
「そんなロマン捨てろ!!」
「お前は俺に男を辞めろってかー!?」
「そこまで大げさな話じゃないだろう!!」
「お前は知らないだけだー!!裸エプロンは男が全員夢に持つものだー!!」
「嘘ばかりつくな!!そうやって僕を何度も騙してっ!!」
「騙してねー!!信じてくれ!!ほんとだ!!だから裸エプロンしてくれー!!今から証拠を見せてやる!!」
リビングの俺のPCで裸エプロンの画像をたくさん出す。
「ちょ!?」
「世の中のノンケもゲイも裸エプロンに夢持ってんだよぉおお!!」
「そんな画像見せるな!!」
「見たくないならしてくれぇええ!!毎朝この画像出して朝飯の時げんなりさせるぞ!!」
「長野ぉおおおおお!!」
結局競り勝った。
次の日に裸エプロンの約束を俺は勝ち取った。
こういうのはシチュエーションが大切だ。
夢が膨らむ。
俺は東急ハンズに寄って白のエプロンを買って来た。
白でなければいけない。少しフリルがついていればベター。
お尻の部分は丸見えでなければいけない。
後ろは紐で頼りなく保たれている感じがベスト。
肩はむき出しでなくてはいけない。
全ての野望を詰め込んだエプロンを入手し一早く家に帰り着いていた松永に渡す。
「これだ!!」
松永がじーっとそのエプロンを見た後
「ラタンー、新しいおもちゃみたいー。これで遊ぼうねー」
「おぃいいいい!?やめろー!!」
ラタンに放り投げてエプロンにラタンが飛びかかろうとするのをラタンに猛タックルして抱き上げた。
「こんなの裸で着れるかーっ!!」
「おぃいいい!?昨日約束したやろー?」
「今考えればどうして裸エプロンしなきゃいけない!?」
「それは男の野望だと何度言えば.....」
「どんな野望?アホらしい!!」
「お前なー!!スーツ姿の旦那様が食卓でニヤニヤしながら奥様の裸エプロン姿見て近寄ってお尻撫でながら奥様はちょっとー包丁持ってるんだから危ないーやーだーとか言いながらイチャイチャするもんなんだよー。そのまま奥様が旦那様に料理されんのー!!そういうもんなんだっつーのー!!」
「長野の方が危ないっ!!変なエロ本とか動画見過ぎなんじゃないのっ!?って離せぇええええええ!!」
くそーっ。
俺の夢野望100選のそれはいまだに叶えられずにいる。
叶えられたら読んでいる人間が赤面する位に詳細に書こうと思う。
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