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これはいい浴衣だ(変態紳士)
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週末二人で浴衣を着た。
松永のキルビルばりの白の浴衣を見立てたのは俺だ。似合っていると思う。
俺は黒の浴衣を着る。
「長野みたいに体出来てる人やと似合うんやろうけど僕似合わんよね」
「いや似合ってる似合ってる。いけてるいけてる」
「そう?長野もいけてるよ」
通販で買わんで着物屋で購入したかなり高めなやつ。
やけどその分シルエットもいい具合だ。
下駄とか巾着とかも一式準備して帯を松永に結んでもらう。女性の帯に比べたら簡単なんやろうか。腰紐結んでその上から男帯結ぶ。
「よかにせやん長野」
「よかにせ?」
「イケメンってこと。鹿児島弁でそう言うんよ」
「そっか。博多弁でイケメンってなんて言うんやっけ?最近博多弁俺たちの間でしか使わんけん忘れてきよる」
「うーん?そう言えばあるのかな?バリイケメン?博多弁でイケメンって言うのあるんかな?」
「そやな。バリイケメンやんってよく言われた。松永もバリイケメン」
「自慢しとーと?はいはいありがと。じゃあ行こう」
「おぅ」
車に乗る。
下駄では運転出来んから運転中はシューズに履き替える。
助手席の松永が膝にチョコンと俺の下駄を置いてる姿がなんか小動物みたいでかわいかった。
車を走らせて八王子へ向かう。
「浴衣だと少し肌寒く感じる?」
「そやな。もう少し早めに着たかったな」
今日はモリクミたちの襲撃は回避した。
あいつらが来ると二人の時間が短くなる。
平日は前も書いたんやけど二人でゆっくりする時間がないからこーいう二人でするなにげない会話も大事なんよね。
「松永最近疲れとる?」
「そうかな?うん」
仕事が忙しいのと松永の担当が増えた分出張や事務処理が大変らしい。
家にまで仕事を持ち帰ってしている。
松永のキャパ越えた案件を何件も抱えているのかもしれない。
松永断れんからなあ........
「断らな」
「人少ないし.....仕事回されるってことは期待されてるってことと思うんよね。それに仕事片付ければ片付ける程僕の報酬も上がるしボーナスの査定にも影響するから頑張る」
「そっか。でも無理すんなよ。お前顔色最近悪ぃーぞ」
人付き合いが苦手な松永が人と関わる仕事をしているのが不思議だ。
松永の仕事をしている場面を一度も見たことがないが話を聞く分には珍しい職業やなとは思う。警察や医者や弁護士に会ったり事件現場調査したり報告書書いたり。
調べ物好きな松永やけど多人数と関わるその仕事で気が張るとはよく言う。
「元から色白だから」
「いやそーじゃねーって。さらに白くなってるって」
「そう?」
「そうやん」
車の中でそんな会話をする。
「でもいろんな人いるね。今書いてるのもぜーんぶ今まで会った人たちのこと。業界の裏のこととか話聞くの面白い。働く人たちのこと書いてる」
「そかー。お前相変わらず書くの早いな」
「うん!!」
松永がニコっと笑う。
八王子に到着してコインパーキングに車を停めて甲州街道沿いの店を見ながら歩く。
そして路地に入った。
「うげ!!まだあるぞこの店っwwwww」
「うわぁ.........まだやってるんだ」
名前出していいよな?大盛りでレトロ感満載お店もバリ汚れとる「豚珍汗」
テーブルは何十年?って営業してたんやろう油でギトギトしとるし学生の味方だ!!と言わんばかりの大盛りチャレンジメニューしかない。高い定食でも550円位だったか。モリクミと吉野はたまにここを利用してたようだが一緒に松永と連れられて来た時は松永が無理して食べようとして吐きそうになっていた。味はお察しだ。
「松永食べる?」
「無理。学生の時ですらきつかったのに今食べたら確実に吐く自信ある」
「相変わらずデカ盛りなんやろーなー」
危険な道をスルーする俺たち。
メシウマの松永の飯を当時食っていた大学生の時の俺ですら
「これはwwww味より量と優しさで勝負ってかwwwww」
と納得のクォリティだったから今食べたら俺も残してしまうかもしれん。
金稼げるようになってうまいもん食えるようになっちまったからなあ。
「自転車でよくこの辺りとか二人でサイクリングしたね」
「そうやなー」
大学がお互い休みの時は自転車でよく二人でいろんなところに行ったなぁ。
免許取るまでやけどね。大学1年の時はよく出かけた。
松永には言わなかったが八王子にもゲイバーとかあったんやけど俺は行かんかったしハッテン場みたいなんもあったんよね。松永をそっち方面に行かせないように「今日はあっち方面サイクリングしよっか」「いやだめだ!!あっち行こうぜ!!」とスルーさせまくっていた。
どんな不安や心配の種もつむ!!そんなことをしてたが付き合い始めたばかりの頃で松永のことをまだよく分かってなかったと思う。
松永はスルーするってね。
気付きすらしないだろう。
それに気付いても興味がなかったに違いない。
俺はネットとかでゲイ関連のことを情報仕入れるのに松永は一切そんなことしてなかった。
松永の家にいる時に.....今なら言える!!松永がトイレに行ったり風呂入ってる時に松永のパソコンの履歴見てた。気になるんやけんしょーがない!!
小難しいサイトばかり見てて俺の心配し過ぎでしかなかったんやけどね。
図書館の前を通る。
「松永ブチ切れて図書館でベソかいとったことあったな」
「うるさい」
松永と喧嘩した時松永が言葉がうまく出て来なくなったらしく。
俺に言葉でボロクソ言い負かされた松永が怒って家飛び出してどっかに行ったんよね。
そん時携帯に電話しても部屋で鳴ってるしお前携帯置いてくなよ!!って慌てて追いかけたんやけど財布も置いてチャリの鍵も置いたまんまやしどこ行ったと思ったら図書館で涙目で本読んでたんよね。
松永が異様な雰囲気で涙目で本読んでるから周囲の人ドンビキ。
誰も声かけるなオーラバシバシ飛ばして本読んでた。
「すまん」
「..........」
「無視すんなって」
「.........黙れ」
「帰ろ」
「........一人で帰れ」
「機嫌直せって謝るけん」
あかん......俺の何かが今松永の感情を逆撫でしたっぽかった。
急激に冷めた目で俺を睨んで本をバンっ!!と閉じて立ち上がって本を元に戻して俺無視して歩き出して人がいない路地に入ったところで振り返って俺に怒鳴った。
「謝るけん!?謝るけんって何!?長野なんで上から目線なんっ!?もー知らん!!もー知らんっ!!」
「お.おい.........」
「触んな!!しゃべりかけんな!!見んな!!」
家の中に閉じこもって俺を家に上げてくれなくなったんよねー。
今考えれば俺が悪かったんやけどさー。
松永の隣にそん時住んどったけんベランダ越しに松永の部屋のベランダに侵入してガンガンベランダの窓叩いて開けてくれーってわめいたなぁ。
「あん時ほんとに迷惑やった」
「だってさーお前バリ俺のこと無視するけんさー」
「無視されるようなことするけんやろ?近所の人に迷惑やん」
余計なこと言わんどけばよかった。
松永の目が今一瞬冷たかった。
「ははははは........忘れろ」
「忘れんよ。一応これも想い出だし。でも思い出すとイラッてする」
「おいおい.......」
mr childrenのまた会えるかなを口ずさみながら松永の気をそらす。
「大学時代もよく歌ったりしよったね」
「おぅ。君と二人愛を語り~めくるめくの世界へ~♪」
「あははは」
「職場にて疲れ切った体を~♪僕がそばに行って抱きしめたいなっ♪」
松永が笑顔で俺が歌うのを見る。
よし!!変な空気が戻った。
高校時代松永にストーカーしてた時の俺のテーマソングみたいになってたからなぁ。
お前は知らんやろうけど。
「調子いいんやけん。川の方も行ってみる?」
「そうしよっか」
浴衣で街を歩くと目立った。
まぁイケメンだからと言うのもあるだろう。
「長野この後浴衣でエッチしようとか言わんでよ?」
「なんでって」
「今せっかくいい気持ちなのに」
「いい気持ち?」
「なんか幸せ。エッチとかよりも気持ちいい」
「俺も気持ちいいよ。やけどエッチも気持ちいい」
「そうやね。気持ちいいね。でもエッチ腐る程したけどエッチの場面よりもこういう場面の方がよく覚えてるし思い出すと気持ちいい」
まぁ確かに。エッチよりも想い出に残るのはこういうなにげない日常なんやろうな。
でもやりたいわけで。
川沿いを歩いていると夕闇がせまって来た。
「寒くなって来たな。家帰ろっか」
「うん」
車に戻って家へと走る。
家の前に見慣れたやつらがいた。
「おぃいいいい!?」
「あーんっ!!素敵よーっ!!やーんっ!!萌え死ぬ!!死んでしまうっ!!」
「お前らなんでいるーんっ!?」
松永が爆笑していた。
お前かーっ!!またこいつら来るのを許したなぁあああああああ!!
「松永てめぇ.......」
「エッチ出来そうにないねwwww」
バカめ。
お前酔わせて頭がグラングランしだしたらこいつら帰らせて俺に襲われるのがまだ分からんのか。
俺は浴衣エッチ出来るならばお前のジュースにヨーグルトリキュールシレッと混ぜてやっちゃうっつーのー。
お前が酒飲まないって言ってもシレっと入れちゃる。
そして酔ってグデングデンで反抗出来ずに俺にやられるんだよーっ!!
で次の日俺はか弱い拳でポコポコ叩かれるのを甘んじて受けようと思う。
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