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始まりはrunner
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息が途切れる。
足が疲れで悲鳴をあげて休もうと訴えかけるがその誘いに乗るわけにはいかなかった。
ただひたすら足を動かす。右足を動かしたら次は左足。
同じ動作を素早く繰り返すと人は走るという行為に及ぶことができるのだ。
人間が人間である定義の二本足を頑張ってフルに使うことは日常的な話、めったに存在しないと思っていた。
歩く方が断然楽だし、走るのは大変な労力を消費する。
メリットデメリットの問題で、明らかに走るほうが不利に動くだろう。
そんなに急ぐ用事でもない限り人は歩く。無駄に体力を削り取らないように自分のペースで二足歩行を行う。
少なくとも俺は陸上やマラソンなどでたまに走るだけだ。しかも全力ではない。
野球部やサッカー部やバスケ部に所属したことがない俺にとって、走るというのはただ疲れるだけの行動だとやや逃げて意識を抱いていた。
だって疲れるじゃん。これで理由は終わりだ。うん。疲れるのは嫌い。
運動もろくにせず逆に運動嫌いな俺がなぜ全力で走っているのか。
もしこう問われたなら、俺の答えはこうだ。
必死に何かから逃げているからだよ!
背後から聞こえてきた怒声にビクリと震える。
意味不明な単語を叫び散らしているが、俺からしてみればやけに明瞭な敵意として捉えることができるのだ。相当怖い。
「なんでこうなってんだよ!」
心臓が破裂しそうなほど動悸する中、俺は泣きそうになりながらスピードをあげた。
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