アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
dead endがどうした
-
路地裏の入り組んだ道をすいすい抜けていく赤松の動きについてこられなくった追っ手が消えた。
ほっと息をつこうと思ったが、遠くのほうで意味を成していない怒声が鼓膜をかすかに揺らした。まだ来てる。追跡者はまだ諦めていない。しつこすぎてため息が出た。
「きりないねー坊ちゃんここらへんで隠れてて」
言いながらゴミ箱の影に押しやられる。
うわっゴミくせえ!不快感で立ち上がろうとするが頭を押さえつけられて中腰のまま停止する。
「えっ!お前はどうすんだよ!」
「俺ー?ちょっとうるさい小蝿を追い払ってくるね」
ちょこんっとお茶目に首をかしげてほほ笑んだ赤松だったが、瞳に浮かぶ暗い感情に黙って頷くことしかできなかった。
赤松の空気が一瞬だけ揺れたように思えた。こいつは時々こんなことがある。
繕ってきた表面の裏側が刹那姿を現すような。
本当に一瞬で気のせいかなって流してしまいそうになる。
だけど色濃く人を悪の道に誘うような深い闇のインパクトは強い。別人みたいだった。
「んーいい子だから大人しく待っててねー」
俺の頭をぐしゃぐしゃに撫でまわし、素早く来た道を戻る赤松を呆然と見送った。急な展開についていけない。
数分後、状況を飲み込み始め、大人しく言いなりになって座っている自分がアホらしくなってきていた。もともと待たされることが大嫌いな性分もあってか大人しく怯えているという選択肢は浮かばなかった。
なんで俺があいつに守られないといけないんだ!
俺だってあんな奴に守られなくても大丈夫なのに偉そうにしやがって!
赤松に全部押しつけて自分だけ楽しようだなんてできるか!
自分の強気な性格と正義感が混ざり合い俺を突き動かす。前にもこんなことがあった気がするような。
いや今は考えるより行動を優先すべきだ。ついた埃や汚れなどを手で払い落として俺は走り出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 223