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kissmarkの所有権
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「ちょっと落ち着いてお話ししようよーいくら温和で優しい俺だろうが突然殴られたら優しくしてあげられないし、我慢できないかなー?」
「我慢できない?今私が感じている烈火のごとき怒りに比べればそんなものないに等しい。ここは一つ。私の安らぎのために大人しく殴られてくれませんか痛くしないから」
「痛くしないからって言ってるくせにどんだん力こもってるんだけどー」
歯を食いしばって端正な顔立ちを崩す甲斐田に首を傾げる。甲斐田は全力で赤松を押し切ろうとしている。しかし赤松は余裕な表情で考え事までしているではないか。その余裕がさらに甲斐田の怒りに灯油を注いでいることを知らない。
なぜ彼はこんなに怒っているのだろう。
もしかして甲斐田のネクタイをファンシーな柄のものと取り換えたことがばれたのか?いやもしそうなら黙って投げ飛ばされている。
腹の底で煮えたぎった怒りを口に出すなんて、よっぽどのことではない限り甲斐田は仮面の下から出てこない。普段のいたずら程度じゃ足りないだろう。
「何の話なの本当に。俺が何かしたー?」
実は怒られる節はまだまだあるが、自分からは言わないのが赤松の姑息さであり賢さだ。
下手に自分から出て墓穴を掘る阿呆な真似はしない。内心で舌を突き出しながら心当たりなどないといった風体を装う。
「しらばっくれてるんじゃありません。本気でてめえの脳天に風穴を開けるぞ」
「ちゃんと説明してくれないー?俺、心とか読めないからさー」
「自分の悪行を私の口から聞きたいとは大した度胸。その根性に免じて教えてあげましょうか」
甲斐田の口ぶりからすると相当大変なことがあったらしい。
面倒事には巻き込まれたくない。部屋に帰って昼寝か大好きな坊ちゃんのブロマイドでも眺めていたい。
赤松は他人事のように受け流し、適当に誤魔化して逃げてしまうつもりだった。
「昨夜、千晴様を襲ったのは貴方でしょう」
「は?」
だが予想の斜め上を抉る疑惑を無視するわけにはいかなかった。
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