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Japanese dress
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「素直に告げられたその度胸は買ってやる。表出ろ。飲んだモン全部ぶちまけさせてやる。千晴の隣の特権が誰のものであるか身に染みて覚えさせてやる」
「望むところです」
「待ってくれ頼むから待て!今何時だと思ってるんだ。近所迷惑どころかあんたらの大好きな弟も起こしてしまうかもしれねえんだぞ」
「心配ない速攻片をつける」
立ち上がって着物の裾を正す菊次に東條の顔色は加速して青くなっていく。まずい。甲斐田と菊次が殺し合いを始めてしまったら、もう自分だけじゃ抑えきれないだろう。
両方とも酔っていて力加減もできないだろうし。俺一人じゃ駄目だ。赤松に視線を向けると壁に向かって話しかけていた。そっと諦めて外す。期待はしていなかったがこれはひどい。とにかく甲斐田のほうを押さえ込もうと、立ち上がりかけていた甲斐田に腕を伸ばす。
上半身をよろめかせながら立ち上がろうとした甲斐田が激しく縦に揺れる。右脚が変な方向に折れ曲がったかのように思えた。足が痺れたのだろうか。ともかく勢いよく畳に頭突きをかました衝撃で床に立てかけていた酒瓶が一斉に揺れる。揺れに耐え切れず数本の缶や瓶が横倒しになり中身がぶちまけられる。
立ち上がろうとしていた菊次の着物にも倒れてくる酒瓶。反射的に受け止めたが着物をぬらしてしまった。顔をしかめて再び座り込もうとした菊次も酔いに振り回されて、赤松の肩に手を置いてバランスを整える。しかし赤松の顔色は赤を通り越して真っ白になっていて、体が小刻みに震えていた。
菊治の着物の裾を掴んで、赤松は縋るような眼差しで彼を見上げた
「なんかちょっと、気持ち悪い…」
「おい待て!吐くんじゃねえ!いま吐くな!」
「無理かもしれないもう無理いいいい」
東條の必死の制止も訊かず、盛大に飲み食いしたものを胃から放出された代物が、菊次に勢いよくかぶせられる。
思わぬ展開にフリーズした菊次の酔いが徐々にさめていく。酒と嘔吐物で香る着物に、東條が死を感じたのは言うまでもないことだろう。
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