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あえてここは東條さんの策略には乗らず意地悪を混ぜて答えてみる。
まあこんな赤子に掌をつねられたような反撃、大人の彼には効果がないんだろうけど。あきれているのかもしれない。馬鹿言ってんじゃねえって怒られるかも。
無言を貫かれると自分のした行為がとんでもなく恥ずかしく、俺の思惑とは逆に子どもっぽさを前面に押し出してしまったように思えた。死にたい。なんで俺反抗とかしたんだ。反抗期かよ。恐る恐る顔をあげてみる。
東條さんは不意をつかれたように目を見開いていた。
刻まれていた皺は一時的に退き、やや赤らんだ頬を隠すように口元に手を持っていく。
予想とは反して、いや想像以上に反応が大きい。
なんだか俺もドキッとしてしまって視線のやり場に困ってしまう。
そわそわと落ち着かなくなって黙っていると、東條さんがそっぽを向きながら手で追い払うような仕草をした。
「あーとりあえず今日は一人で帰ってくれ。悪いな」
「は、はい!それじゃあまた今度!」
眼差しの鋭さに急かされて俺はリュックを背負いなおした。東條さんに頭を下げ背中を向ける。
何度も振り返って東條さんを確認したが、やはり彼は考え込んだまま動かなかった。
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