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19・20.
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人がまばらになったフロアで、桐島に声をかける。
桐島の見開いた目に、
『怯えさせたかな』
と思いながらも、本宮は
「何か予定あるかな?」
と続けた。
「あ…、いえ。
大丈夫です、特に何もありませんから。
何をすればいいですか?」
桐島には、敢えてわかり易く、来週で間に合う仕事を頼む。
桐島の反応を見るために。
頭の良い桐島が、この仕事はただの口実だと気付いて、どんな反応を取るのか確かめるために。
しかし、桐島は大した反応も見せずに、淡々と仕事に取り組む。
勘の良い本宮にも、桐島が口実に気付いたかどうかは、読み取れなかった。
取り敢えず本宮はPCに向かい、他の社員が帰るのを待った。
間もなく19時になるという頃、桐島と本宮以外に残っていた社員が、帰り支度を始めた。
「部長、お先に失礼します」
「ああ、お疲れ様」
「桐島も、お疲れ様。お先に」
「お疲れ様です」
『思ったより、早く帰ってくれたな』
フロアにはまた、桐島と本宮だけが残った。
先週の、あの日のように。
本宮は桐島の僅かな緊張を見逃さなかった。
『全く眼中に無いわけではなさそうかな?』
本宮は賭けにでた。
「桐島くん、今日はこの辺にして、一杯付き合ってくれないか?
ムリ言ったお礼に、奢るよ」
本宮の問い掛けに桐島一瞬だけ考えて、
「ありがとうございます。
お付き合いします」
と答えた。
その答えにニヤケそうになる自分をこらえ、本宮は桐島を連れ出した。
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