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29・30.
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本宮の告白に、桐島がくすりと笑う。
「笑うなよ」
本宮が拗ねると、桐島はなおも微笑み
「すみません。部長が可愛いから」
と言う。
本宮は どうせ、俺はガキっぽいよ と呟きながら、腕の中の桐島を抱き締める。
しばらく本宮に身を任せていた桐島がふと目線を上げたかと思うと、またしても不安げな表情に戻り
「部長、終電が…」
と泣きそうな顔を見せる。
帰って欲しいのか、いて欲しいのか、桐島の本心が見えず、本宮は桐島の顔を覗き込み、尋ねた。
「『帰らないで』って言ってくれたのに?
朝までいて、いいんだろ?」
その後に続けられた桐島の言葉に、本宮は自分を殴り飛ばしたいほど、後悔した。
「オレは、部長の気持ちだけで十分です。
ちゃんと、奥さんと息子さんの所に帰ってあげてください」
苦しげに、必死に微笑みを作ろうとする桐島の目からは、涙がこぼれ落ちていた。
「…ごめん…」
本宮は、桐島を抱き締め直し、続けた。
「俺、離婚してるんだけど、知らなかった??」
「…? り…こん…?」
桐島は、全く意味が分からないといった様子で、ポカンと本宮を見上げている。
本宮は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
桐島は今まで、自分を妻帯者と思っていたらしい。
その勘違いが、どれだけ桐島を苦しめたかを想像すると、謝っても謝りきれない。
「ごめん、隠してたわけじゃあないんだけど。
長年勤めてるヤツはみんな知ってるし。
もう、離婚して10年くらい経ってるから、わざわざバツイチって説明したりしてなかったんだけど……。
…でも、そうだよな。
桐島くらいのヤツらは、知らないのか…。
ホント、ごめん」
そう言うと、桐島を優しく抱き締めて、せめてものお詫びにと、甘い口付けを与える。
「でも、息子さんは…?」
ハッと気付いたように、なおも不安げに桐島が問い掛ける。
本宮は、桐島の頬に、額に、泣いて少し腫れた瞼に、チュッとキスし、答える。
「いいの。
小さい娘とかだったら心配だけど、もう15にもなる男だぜ?
普段から出張の時は1人にして出てるし。
きっと“帰ってこなくてラッキー”くらいに思ってるんじゃないか?」
本宮は、桐島がやっと安心した顔を見せ、身を任せてくれたことに安堵し、愛しくて可愛い恋人をギュッと抱き締めた。
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