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「いっく~ん!
ひさしぶり~」
駅まで迎えに行くと、華が駆け寄ってくる。
「華、久しぶりだな。
ちょっと大きくなったか?」
普段は桃子と2人きりだから、男親や兄弟に憧れるらしく、俺や柳に懐いてくれている。
「じゃあ、ごめんね?
宜しく」
「はいはい、任せとけ」
桃子を見送ると、華に向き合う。
「華、もう昼ご飯食べた?」
聞くとまだだと言うので、せっかくだし外食することにした。
ファミレスに入って注文すると、間もなくしてランチが運ばれてくる。
小さな手で、器用にナイフとフォークを使う姿が、微笑ましい。
久しぶりに会うと、毎回成長に驚かされる。
柳にも、こんな時期あったなあ。
今はかなり生意気だけど。
俺は、久弥のこんな幸せを奪ったんだと思うと、何だかやるせない。
俺があの時手を出さなければ、きっと今頃久弥は男を受け入れる事などなく、必要以上に苦悩することもなく、女の子と幸せに過ごしていただろう。
もしかしたら、結婚の話もあったかもしれない。
そしていつか、子供を腕に抱いていたことだろう。
そんな幸せを、俺が奪ったんだ。
「いっくん、どこかいたいの?」
目の前に座る華が、心配そうに覗き込んできた。
いつの間にか、久弥に思いを馳せて、ツラい顔をしていたようだ。
「ごめん、何でもないよ。
ちょっとぼーっとしてた。
華、デザート食べるか?」
「たべる!」
慌てて笑顔を見せると、華が満面の笑みを返してくれる。
今更後悔しても仕方ない。
久弥だって“後悔してほしくない”って言ってたじゃないか。
久弥の当たり前の幸せを奪ったのは俺なんだから、責任持って当たり前以上に幸せにしてやる。
そう、心に誓った。
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