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second season 1.
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転勤して、もう一年近くが経つ。
最近、久弥の周りでは結婚と出産ラッシュのようで、今週末も大学時代の後輩の結婚式に呼ばれていて、会うことができない。
昔は“先輩”の結婚式だった。
ちょっと前までは“同期”の。
最近は“後輩”の式が二度続いた。
電話で話していて、久弥が友人達の結婚式の話をするたび、複雑な気分になる。
「友達の出産祝い、何がいいと思います?」なんて相談された時は、正直泣きたくなった。
まあ、平静を装ってアドバイスしたが。
付き合い始めの頃は、久弥の普通の幸せを奪った分、普通以上に幸せにすればいいなんて思っていた。
けれども、違うのかもしれない。
俺が奪ったのは、久弥だけの幸せじゃない。
久弥の親から、“嫁”や“孫”という幸せも、俺が奪ったんだ。
最近では、久弥からの電話も怖くて、夜中に【気付かなくてごめん】なんてメールで誤魔化す始末…。
ある日、転勤先で見つけたゲイバーで飲んでいた。
同じ性癖のヤツらと、気楽に飲んで現実逃避をするのが、最近のストレス発散方法だ。
今までは、それで済んでいたのだが、その日は飲み過ぎたのかもしれない。
いや、いろいろと限界だったのかも…。
若いコからの誘惑に、惑わされてしまった。
ホテルに誘われ、部屋に入る。
遊び慣れていて、後腐れない様子に気楽さを感じた。
実際、彼は
「気持ち良かった。
また気が向いたら、遊んで?」
と言い残し、連絡先も求めずに去っていった。
踏み外した一歩は、自分ではわからない程に大きかった。
次の機会には、自ら軽そうなコに声をかけてしまった。
それでも、挿入する気は起きなかったのは、やはり久弥への想いが大きかったからか。
久弥に時間の余裕ができて、【会いたい】と連絡があったが、のらりくらりとかわしてしまった。
浮気したことへの罪悪感ももちろんあったし、離れる事で久弥が女性に目を向けてくれないかとも、期待していた。
自分から別れを切り出せる程、できた人間ではなかったし、浮気を隠して久弥と愛し合える程、厚顔でもなかった。
要するに、俺は逃げたんだ。
本当に、ズルい人間だ。
三回目、とうとうアパートに連れ込んでしまった。
まさか、あんな事が起こるとは思わずに…。
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