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店を出る時に「久弥のアパートに行きたい」と言うと、「ダメ」と久弥に素っ気なく言われた。
「だよな…、こんなすぐ…」
“許したわけじゃない”と言われたし、指輪の出番はもう少し先のようだ。
うなだれていると、久弥がクスクス笑う。
「笑うなよ~」
情けない声が出る。
どうも俺は、久弥相手だと格好付かない。
「ごめんなさい。
なんか、今日の樹さん可愛くて、イジメたくなっちゃいました」
涙を滲ませた久弥が、からかうように笑いながら続ける。
「あ、でも、オレのアパートがダメっていうのは、ホント。
せっかく柳に根回ししたんだから、樹さんの所に行きましょう?」
「……はぁ…!?…根回し……!?」
開いた口が、塞がらない。
「はい。
柳、今日はバイトの後、友達の所に泊まりに行ってくれることになってるんで。
だから、樹さんのマンションがいいです」
にっこり笑って誘う久弥に、俺の答えはもちろんイエスしかない。
「お前ねぇ…。
どうなっても知らないからな?」
「優しくしてくださいね?」
艶っぽくクスッと笑う久弥をぎゅっと抱き締め、髪をくしゃくしゃと撫でた。
シャワーを浴び、ベッドに腰掛け、久弥を抱き締める。
「久弥、ありがとう」
久弥の髪に顔をうずめ、震えた声で呟き、久弥の香りを胸一杯に吸い込んだ。
「樹さん、ひとつだけ、勘違いしないで?
オレの幸せは、結婚じゃない。
オレの幸せは、樹さん無しじゃ成り立たない」
久弥の強い言葉に、「ああ」と頷き、深く口付けをする。
どちらからともなく、舌を絡め合い、互いの口腔を貪る。
一年ぶりの久弥を相手にしては、薄い布さえもどかしく、早々と互いに全裸で抱き締めあう。
久弥の感触が、体温が、吐息が懐かしく、愛しさが込み上げる。
「樹さん…もう……」
「ん。一回イこうか?」
久弥の喘ぐような誘いに、互いのペニスに手を伸ばすが、阻止される。
久弥がふるふると首を横に振り、消え入りそうな声で、しかしはっきりと言った。
「後ろに、して下さい。
樹さんと、ひとつになりたい」
「いいの?」
久弥の顔を覗き込むと、しっかりと頷いてくれた。
そっと、指を久弥の後孔に這わせた。
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