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今日は俺の方が遅くなってしまった。
本社には寄らずに支社から直帰する。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
ようやく帰宅すると、PCに向かっていた久弥が、ソファに座ったまま顔をあげる。
「遅くなってごめんな。
もう少し早く帰れると思ったんだけど」
見上げてくる久弥の頬を手のひらでゆるゆると撫でると、久弥がふにゃりと眉尻を下げた。
「お疲れ様です。
流石に、食事は済ませました?」
「いや、ちょっとはつまんだけど、腹減った。
何か残ってる?」
「はい。
用意しておきますから、着替えてきて下さい」
久弥の安心しきった笑顔は久しぶりな気がして、愛しさがこみ上げてくる。
着替えてリビングに戻ると、明らかに“残り”ではないうえに2人分の夕食が用意されていた。
「久弥、まだ食べてなかったのか…?」
「ん~」
曖昧な笑みを返し、久弥が甘えて抱き付いてきた。
可愛くて愛しくて、けれども何を言っても久弥が気にしてしまう気がして…。
猫のように擦りよってくる久弥を、安心させたくて、無言のまま手触りのよい髪を撫で続けた。
シャワーを浴び終えると久弥はまだPCに向かっていた。
後ろから抱き締め、問い掛ける。
「大丈夫か?
終わらなそう?」
俺に気を遣ったのか、久弥が慌てて作業を終える。
「すみません、大丈夫です。
急ぎのは終わったんですけど、なんかノってたから次の進めてただけです」
本当にそれだけならよいが、そんなことは無いだろう。
「樹さん、手、こっち」
久弥が俺に背中を預け、俺の手を取ると自身の肩に置く。
「ん~? どした?
肩凝り?」
ぐいぐいと肩を揉むと、ううん、と首を振る。
「揉まなくていいから、肩に手置いてて」
何かあったのかと不思議に思いながらも、取り敢えず久弥の頼みを黙って聞く。
目を閉じて俺にもたれかかる久弥を、どうすれば癒やしてやれるのか。
何も出来ない自分が憎らしい。
暫くそうしていると、久弥がゆっくりと顔をあげた。
「樹さん、シたい」
俺の方を向き、胸に縋り付く。
アルコールも入っていないのに、こんなに甘えてくるのは珍しい。
やはり、かなり無理してるようだ。
が、仕事がからむ事で俺が口出すのが嫌なのはわかっている…。
「ひ~さ~?
ベッド行くよ?」
今夜はとことん甘やかそうと、久弥をベッドへといざなった。
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