アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4.
-
地方への出張で、一週間ほど本社を離れる事になった。
今の状況で久弥から離れなければならないのは正直キツいが、仕事だからそうも言っていられない。
出張期間を出来るだけ短縮する為に仕事を詰め込んだため、満足に電話もできないのは誤算だった。
しかし、ちょうど出張の折り返しの日に、接待の後早めにあがる事ができ、久しぶりに久弥に電話する。
通話を押すとすぐに出てくれた久弥の声に安堵する。
《もしもし? 樹さん?》
「久弥~? 遅い時間にごめんな~。
声聞きたくなって。
まだ起きてた?」
《ええ、起きてました。
樹さんは、飲んできたんですか?
付き合いも大事ですけど、ちゃんと休んで下さいね?》
久弥の声が心なしか嬉しそうで、思わず笑みがこぼれる。
「ん。ありがと。早く帰って久弥に会いたい」
《まだ半分でしょ?
もう少し頑張って下さいね、“部長”?》
そうたしなめられつつも、笑みは止まらない。
「はいはい。
久弥は大丈夫?
無理してない?」
《大丈夫です。
樹さんの声聞いたら、元気になりました》
そんな可愛いことを言われては、仕事を放って帰りたくなるじゃないか。
「じゃあ、明日も早いし、寝るか。おやすみ、久弥」
《おやすみなさい、樹さん》
会いたい気持ちを堪えて通話を終える。
余韻を楽しみながらベッドへ潜ると、隣に久弥がいない寂しさが際だった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
75 / 85