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時計の針の音が、やけにうるさい。
早めに帰ると言っていた久弥は、まだ帰っていなかった。
少しでも早く会いたくて支社から直帰したが、こんなことなら本社に寄ってから来るべきだった。
久弥のスマホを鳴らすが、音声アナウンスに電源が入っていないと告げられる。
霧島課長にも電話するが、出ない。
嫌な予感がする。
車のキーと財布とスマホをポケットに突っ込み、エレベーターを待つのももどかしく、マンションの階段を駆け降りる。
本社にいてくれればいいが、霧島課長にどこかに連れ出されていたら…?
笹井くんに連絡すると、やはり久弥は残業しているらしかった。
本社前まで車で乗り付けると、心配した笹井くんもちょうど駆け付けてくれたところだった。
夜間仕様で一台しか動かないエレベーターは、たった今上に向かったところ。
このエレベーターを呼んだのが、久弥だったらすれ違いだ。
しかし、もしも霧島課長が念の為の時間稼ぎにボタンを押しただけなら…。
一か八か、毎朝登り慣れた階段を、全速力で駆け上がる。
生きた心地もしないまま、ひたすら部署のフロアを目指した。
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