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3、大きな決断(回想シーン) 真人side
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その時の俺は16歳、高校1年生だった。
母は執事、父は執事養成学校の教師をしている。
母が仕える主人は鷺宮グループの奥様らしい。
俺の勉強の合間とか、とりあえず時間があればその人のことを話してくれた。
いづれ俺が執事になることは父から何度も言われてきた。
まだ高校生だから養成学校には入れない。
入るとしたら高校と大学を卒業してからだ。
それに俺は、父が務めている学校に入ると決めている。
大好きな母に、俺の立派な執事姿を見せたい。
そう思いながら高校での勉強を頑張っていた。
だが思いがけない事件によって、俺の心は狂ってしまった。
学校が終わって、いつものように家に帰ると父の靴があった。おかしい。父は学校にある教師専用の寮で暮らしている。何があったのかと父に聞こうとしたが、父が先に口を開いた。
「真人…おかえり」
「ただいま。お父さん、どうしてここに?」
「…理事長から連絡があって、帰ってきた」
「…何かあったの?」
「…………真人、落ち着いて、よく聞け」
「…うん」
「…百合が…死んだ」
「……えっ?…お母さんが…どうしたって?」
「……死んだんだ」
「な、何で!?昨日まで普通に元気だったじゃん!」
「…自殺らしい…」
「自殺!?…なんで…お母さん…置いて行かないで…俺の執事姿を見せるために…勉強頑張ってるのに…!!!」
「…真人…」
聞きたくなかった。
死という言葉。
この出来事が、俺を狂わせた。
「真人、お前の部屋の机にこれが置いてあった」
「…?これ…」
それは母からの手紙だった。
『愛する真人へ』と綺麗な字で書かれている。
手紙を開けると紙が4枚入っていた。
俺は部屋に行って、椅子に座ってから読み始めた。
『あなたは私の自慢の息子だよ』
『私の息子に生まれてきてくれてありがとう』
という俺への感謝の言葉と、
『真人を置いて行くお母さんを許して』
『あなたに迷惑は掛けたくない。こうすることしかできないお母さんを…どうか許して』
という俺に対する懇願の言葉が書いてあった。
読みながら涙が出てくる、溢れてくる。
涙が落ちて、文字が滲んでいく。
母の書いた文字が、俺の涙で滲む。
母はどんな気持ちでこの手紙を書いたのだろう。
そして手紙の最後の部分を読んで、
俺は謝っても謝りきれないほどの後悔を味わった。
きっと許さないだろう。
父も母も。
俺がこの時に決めた大きな決断を。
でも…俺は
"あいつ"を許すことは出来ない。
俺と父を悲しみのどん底に落とした"あいつ"を…!
必ず、復讐してやる。
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