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その身につけた象徴2
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6人程居た男達は、兎の仮面をした連中にやられてしまった。
この場には、先程マーニと呼ばれた兎の仮面の男、その部下と思われる10名程の連中。
そして俺と、シキ。
「さて、と。お掃除は終了だね。」
男はそう言い、こちらに顔を向ける。
「やあ、君はノア君だったね?君はなんで自分が連れ去られたのか、わかる?」
「……わかりません」
この男の異様な雰囲気に、口が渇く。
発した声は、乾いていた。
「うん、だよねえ。安心しなよ、別に身代金を要求するつもりもないし、君を今すぐに殺すつもりはないから。」
「………?」
「お友達もいることだし、王族が動くまで待とうか」
「……いや、俺の為に国が動くはずがないだろう」
俺の返答にマーニと呼ばれた男が糸で引っ張られたかのように口元を歪め、目を細めた。
「君のお家はねぇ、ある秘密があるんだよ」
「…秘密……?」
「そう。君の家はオールとシビュラの大事な大事な宝物なんだよお?」
「俺の家が…?」
「君達や、オウシュウ一族がそれを知らないのは、この事実を隠したお馬鹿さんがいるからなんだ」
「……」
「お馬鹿さんはオウシュウ一族がこの国を統治する前にこの国を好き勝手していた奴等なんだけど、自分達がこの国を統治できないってわかった途端この情報を隠したんだ」
「…よく…分からない、なんのために?」
「君達レベル家に何かあったら、オールが怒っちゃうからさ!お馬鹿さんは、機会を伺ってオール国との戦争を引き起こし情勢が揺らいだ瞬間、王冠を奪還しようとしたんだよ。だから、その為に俺達みたいなテロリストにその大事な情報を渡して協力させようとした。」
オール国…何故隣国の名前があがる?
「だけど、それも失敗!何故なら、俺達兎は誰かの指示なんか従わない。今頃奴等焦って自ら自白しに行っているところだと思うよ」
「これで、オールがこの国を攻めてきたらどうなっちゃうかなあ…?」
楽しそうに話す兎の男に、俺はどうすれば良いのか考える。
つまり、その秘密が何か知らないが、このままだと大きな戦争が起きてしまう。このイカれたテロリスト共をどうにかしないとならない。
中途半端な情報開示で頭の中はぐちゃぐちゃだ。
しかし脳内の混乱も酷い爆発音により吹っ飛ばされる。
「!?」
「あれぇ、予定より早いなあ…?」
部屋の外で何かあったようだ。
本当に、王族が動いたのか…?
兎の男も、予期していなかった事のようで、少し驚いている。
「まあ、いいか。王族の奴等の前で君を殺してあげるよ」
「……!?」
「さっき、殺さないって言ったじゃないかって?
ふふ、さっきはね、「今は」って言ったんだよ」
伸びてくる手に俺は咄嗟に顔を背けた。
…?いくら待っても掴まれる様子がない。
恐る恐る、顔を上げてみると………
「シキ…!!」
シキが男の首に短刀を向けていた。
「その汚ねえ手で俺の友達に触んじゃねえ」
「………アレェ?アレアレェ??さっきまであんなに怯えていたのにナァ。折角、殺すのは後回しにしてあげようと思ったのに。目障りだなァ?目障りなモノは消さなきゃ」
突然男が、フラッと倒れたかと思えば物凄いスピードでシキに斬りかかる。
「シキ!!!!」
シキはその攻撃を避け、短刀で対抗する。
男はどこから出したのか、剣でシキに攻撃をしかける。
「結構やるじゃない?オトモダチ?僕の攻撃を避ける奴、初めて見たなあ」
「そりゃ、ドーモ」
「アレェ?ドライだなあ」
「獲物がこれじゃ、お前に膝つかせらんねえからな」
「そんな大口叩いてダイジョブ?」
その攻防は、目にも止まらぬ速さで行われた。
彼の動きは、しなやかで繊細でとても美しかった。
これ程までの男だったのか、と。
また、爆発音。
突然、奥の扉が吹っ飛び外から続々と人が入ってくる。黒い軍服、特徴的なパーカー。その格好は俺の知らない自警団の制服で、その黒に目を惹かれる。
「隊長!」
見知らぬその怒声とともに、投げられたのは二本の細身の剣。
その剣が収まったのは、彼の手の中。
「第七師団三番隊、これより兎討伐作戦を遂行する。」
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