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苦味
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「2人とも、美味しいかい?」
はい。と胸の苦しさを感じながら返事をした。
「慶太はいつもここに来ると、食事に夢中であまり話してくれなくてね。だから今日は海斗と仕事の話でもしておくよ。」
僕の膝を撫でて、底冷えするような笑みを浮かべた。
「…はい。ごめんなさい。」
上手く笑い返せたかわからない。
その後の清さんと海斗の話をよくわからなかった。時々、僕の名前も出てきていた気がするが、全部抜けていく。
ただ、目の前に出てくる食事をひたすら消費することしかできない。
食べても食べても終わりがなく続くように感じるコース料理。
この食事が終わらない限りずっとあの夜に締め付けられるのだ。
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