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貸出
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海斗が家を出たのを見送った。
適当な服を着て、ともの連絡先を写した紙をポケットに突っ込んだ。
心臓がこんなにも早く動くなんて知らなかった。玄関の扉を開ける手が震えた。
ここから羽ばたけるならどこでもいい。そんな気持ちで勢いよく一歩を踏み出せた。
そこからは無我夢中で走った。
会社とも大学とも違う方角へ、ただひたすら進んだ。
お金なんてないから自分の足だけで移動するしかない。途中何度か捨てられている自転車を調べてみたがどれも使い物にならなかった。
地図もないし、もちろんスマホなんてない。
真っ直ぐ進むだけじゃつまらないと思い、右、左、真っ直ぐ、右、左、真っ直ぐと分かれ道が来るたびに規則的に進んでみたりした。
気がついたらもう太陽が沈みかけていた。
近くで休める場所を探しながら歩くと公園があった。
公園のベンチに腰を下ろして考える。
この先どうしようか、やはりお金が必要だから働かないと…。
ともに今日のプレゼンのお礼言ってない…。
たまたま、隣のベンチにビールを片手に持ったサラリーマンが座った。
「あの!スマホ貸してくれませんか?」
「え…スマホですか?」
「あっ、えっと。全部無くしちゃって…。」
「もしかして、ひったくりされた?」
「っ、はい…。」
酔っているのか少し話すとスマホを貸してくれた。
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