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「え、は?」
「あー……………えーと、色々あって」
どうしよ。リンチって単語も制裁って単語も、一般的じゃない。こんな、のんびりした田舎で、なんか口にするのは変だ。
「あと、これとか」
腕まくりして肩の付け根を見せる。根性焼き。………とか、わかるかな、こいつに。
「……………………え、なにそれ。どしたの?」
「まあ色々あったんすよ」
「それじゃわかんねえって」
「あー、あはは。俺が悪いんだけどね」
「………………」
うわあ。これでひいてるよ。やっぱスミとか見せなくてよかった。浅原、すげー顔してる。
「まあ昔の話なんでどうでもいいけど。……あんま見せたくないの。あ、絶対誰にも言うなよ?」
「あ、うん。……………え?」
「言うなよ」
「言わないけど。……………お前どんな人生だよ」
「バカなんだよ」
バカだった。こんなこと、一生引きずっていきてくことが、どんだけ苦痛かも知らないほど。
まああの頃は、将来どころか明日さえないようなもんだったし。
「…………………それって水野くん知ってんの」
「あーうん。あいつは知ってる」
「…………へえ」
「だからってべらべら喋んなよ」
「言わねーよ。…………いや、あの子もなんか、そーゆーのあったらやだなあと思って」
「ないない! 水野にはこんな目ぇ遇わせてないから!」
水野と一緒にいたくて、チームを抜けた。だけど、素人になんかするほどバカな奴らでもなかった。全ての償いは俺に。いっぺん死んで、生き返るぐらいの処遇。生き返るかどうかは俺次第だけど。
血より苗字より濃い、絆を。
鎖を断ち切るための儀式。
俺は憂いてない。反省するなら、あのとき泣かせた両親と、それ以上に泣きじゃくってほぼ毎日病室に来てくれた水野に心が痛む。俺はバカだった。どうしようもなく。
「あっそ。ならいいけど」
「うぇーい。理解早くて助かるわ」
「………………」
そのあとは漫画とか映画とかの話になって、だらだらお喋りは続いた。
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